エジプトの有名な観光名所の中でも最大の「ギザの大ピラミッド」(クフ王のピラミッド)は、約4500年も前からそびえ立っている。だが、このピラミッドを構成する200万個を超えるブロックは鉄壁の守りとならなかった。ピラミッドに納められた古代の宝は、何千年も前に略奪者の手によって奪われ、科学者たちは、回廊の調査によって、あるいはサーマルスキャナーのようなさらに高度な計測技術によって、その内部を調べてきた。
ギザの大ピラミッドにはまだ多くの謎があるが、国際科学者チーム「ScanPyramids」は、2015年から素粒子を利用してピラミッドの謎を調べてきた。2017年には、文字通り「Big Void」(巨大空間)と命名された巨大な空間がピラミッドの回廊の上にあることを明らかにしたが、この空間の目的は不明なままだ。
ScanPyramidsは米国時間3月2日、学術誌「Nature Communications」に発表した論文の中で、大気に絶えず衝突する宇宙線を利用して、この回廊の構造の特徴を明らかにした。
宇宙線のミューオンは、宇宙を構成する最も基本的な要素の1つと考えられる素粒子であり、地球の大気を通過し、時には地表にある固体に衝突する。その物体の密度と厚みにより、ミューオンの吸収のされ方が決まり、それは計測可能だ。
研究チームはミューオンを用いて発見した北面回廊の特徴を明らかにした。この回廊は北面のシェブロン構造物の約80cm後方に存在しており、長さ約9m、直径約2mのパイプ状で、地面と水平に走っているようだ。また、大ピラミッド内の他の回廊よりも断面が大きいとみられる。少なくとも今回の調査からは、以前発見されたBig Voidとつながっている可能性は低いという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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