完全自動運転車両の開発、販売を目指すTURING(チューリング)は1月、チューリングとして初めてのエンドユーザー向け製品「THE 1st TURING CAR」を1台限定で販売すると発表した。
THE 1st TURING CARは多数の問い合わせの末、発表から約2週間後に成約。販売価格は約2000万円になるという。本記事では、THE 1st TURING CARと、同様の改修を施した車両への試乗レポートをお届けする。
THE 1st TURING CARは、トヨタの「レクサスRX450h」をベース車両に、チューリングが自社開発したAI自動運転システムとオリジナルエンブレムを搭載。2022年10月に実施した「北海道一周長距離走行実証」といった各地での実証で進化させ、「人間が目で見たものを頭で判断して運転する」かのように走行できるという。
ここからは実際に試乗した様子をお届けする。
THE 1st TURING CARが搭載するAI自動運転システムは、フロントガラスに取り付けたカメラで画像データを読み込み、AIが白線や前走車を検知、判断して車両を操作するという仕組み。従来の自動運転・運転支援技術のように多種多様なセンサーや周辺領域の高精度3次元データなどで動きを制御するというアプローチは取らず、特殊なセンサーなどは使用しないという。
「止まれ」などの停止は自分で操作が必要だが、前走車に追従しての停止などは操作不要。ドライバーがハンドルを握らずに自動運転できるという。
「THE 1st TURING CAR」試乗レポート
なおチューリングは、将来的に走行エリアや条件の制約がなく、車両操作の全てをシステムが主体となって実施する「完全自動運転」の実現を目指している。
一方で、今回のAI自動運転機能は支援にとどまり、あくまでドライバーが運転の主体となることを想定した車両のようだ。田中氏は、「研究開発にとどまらず、販売という波にさらされる必要性を感じた」と、第1号製品を1台限定で発売した意図を語る。また、「これはあくまで最初のマイルストーンで、“99.9%レクサス”、フレーバーを変えたというイメージの製品。これからは自分たちで車を作る、ソフトもハードも作れるという能力を会得し、マーケットに出していきたい」と続けた。
次の目標としては、「2025年中に自分たちでプラットフォームから作る車を100台を作りたい」とし、スポーツカータイプのEVに、「レベル2」程度の運転支援機能がついたものになる可能性が高いという。実際に同社は2月17日、初の車両生産拠点を新設したことを発表。着々と準備を進めている。
また田中氏は2030年の目標として、法律的な課題などはさておき、「ハンドルがない車を出せる準備を、技術的に整えたい」という。同社が掲げる「1万台生産の達成」「上場」などとともに達成し、自動車業界を変革すると意気込む。
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