[ブックレビュー]企業は新しいパラダイムに移行できているか--「だから僕たちは、組織を変えていける」

フライヤー編集部2023年02月25日 08時00分
クロスメディア・パブリッシング
内容:新しいパラダイムに応じて組織を変革するためにはどうすればいいのか? それが本書のテーマであり、「たったひとり」でも変革の一歩を踏み出せるというのが著者の主張である。幹となるのは「関係の質」から始まる「成功循環モデル」だ。本書では、このモデルを土台にさまざまな組織開発の理論やメソッドが、実践者に寄り添った構成と図解で紹介する。

 今回も、グロービス経営大学院とフライヤー主催による「読者が選ぶビジネス書グランプリ」で、2023年のマネジメント部門賞に選出された「だから僕たちは、組織を変えていける」を紹介する。本アワードは、読者が「有益だった」「実用的だった」と思うビジネス書に投票する形式で選出され、2023年は投票者数・投票総数ともに過去最高を記録した。

 情報革命によって私たちの社会は工業社会から知識社会へとシフトした。しかし、はたして企業などの組織は知識社会という新しいパラダイムに適応したものになっているだろうか。

 例えば数値目標のような計画をとりあげる。著者のいう知識社会にふさわしい組織像の1つ「学習する組織」では、計画は「実行されるべきもの」ではなく「絶え間ない環境変化を知覚する、学習のためのアンテナ」を捉え直すことだという。「予算の達成」よりも「予算との差異からの学び」に注目すべきだというのだ。もしあなたの組織が依然として「予算必達」を掲げ、実質的に数字にばかり振り回されているとすれば、新しいパラダイムに移行できていないといえる。

 では新しいパラダイムに応じて組織を変革するためにはどうすればいいのか? それが本書のテーマであり、「たったひとり」でも変革の一歩を踏み出せるというのが著者の主張である。幹となるのは「関係の質」から始まる「成功循環モデル」だ。本書では、このモデルを土台にさまざまな組織開発の理論やメソッドが、実践者に寄り添った構成と図解で紹介されていく。そこには、志ある人にひとつでも多くの武器を与えたいという著者の熱量が感じられる。

 日本企業の多くでは、PDCAやKPIに偏った組織運営が幅を利かせている。この慣性にあらがい、組織の原理を「統制」から「自走」へと変えていくのは容易ではないだろう。それでも本書を読めば、希望を見出し、理想の組織・チームづくりへの一歩を踏み出せるはずだ。

今回ご紹介した「だから僕たちは、組織を変えていける」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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