「Windows」ユーザーが陥りがちな「macOS」に関する誤解4選 - (page 2)

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2023年01月31日 07時30分

主張3:マルチタスクができない

 この主張は不可解だ。正直、なぜこの記事のライターが「macOS Venturaでは3つ以上のアプリを同時に使えない」と書くに至ったのか分からない。

 Macでは脳がフリーズするほど多くのアプリを同時に使える。もちろん、RAMの容量も多少は影響する。しかし私は16GBのM1搭載Macをメインの開発マシンとして何年か使っていたが、10個以上のアプリを同時に開くことは頻繁にあった。コーディング中は多くのツールを並行して使うが、16GBのMacでも十分に対応できる。

 現在は64GBのRAMを積んだ「Mac Studio」を使っている。マルチストリームの4Kビデオを編集しながら3Dモデリング、画像編集、コーディングを同時に行っても、動作が重くなるといった不都合を感じたことはない。

Macで多数のアプリを立ち上げている画面
「PhpStorm」開発環境がバックグラウンドで動作し、「Photoshop」やFTPクライアント、ターミナルウィンドウも起動している。もちろん3つ以上のアプリを動かせている
提供:David Gewirtz/ZDNET

 「iPad」でさえ、複数のアプリを同時に動かせる。Appleシリコンを搭載したiPadなら、「Split View」機能を使って2つのアプリを左右に並べて表示し、「Slide Over」機能を使って3つ目のアプリを開くことも可能だ。「ステージマネージャー」を使えば、4つまで同時に使える。

 Macで実行できるアプリの数について、なぜこのような誤解をしたのか、その理由を考えてみた。唯一思いついた原因は、「Split View」機能だけを使っていた可能性だ。

 アプリを立ち上げても「Split View」機能は自動的には実行されない。アプリにタイル表示するよう明確に指示する必要がある。しかしMacを使っていて、複数のウィンドウを開かないということはほぼあり得ないので、複数のウィンドウを開く方法を同氏が見つけられなかったこと自体が想像できない。

主張4:連携できない

 Windowsは、サムスンの「Galaxy」シリーズのスマートフォンとWindows PCをつなぐ「Phone Link」と呼ばれる便利な機能に対応している。Phone Linkを使えば、メッセージ、電話、通知、ファイルの同期が可能だ。Microsoftの説明では、Phone Linkはサムスン製スマートフォンにしか対応していないが、記事のライターによれば、一部の機能は他の「Android」端末でも利用できるという。

 記事は、「macOSとiPhoneの連携はすばらしい」と認めつつ、「しかし、MicrosoftがPhone Linkの体験をAppleのエコシステムにも広げられるように、Appleは歩み寄るべきだ」と述べている。

 AppleにもPhone Linkに相当する「連係」という機能があり、複数のAppleデバイス間を行き来できるようになっている。さまざまな連係機能のうち、おそらく私が一番よく使っているのは「ユニバーサルクリップボード」だ。iPhoneで切り取ったり、コピーしたりしたアイテムをMacに貼り付けることがよくある。他にもデバイスをまたいで利用できる機能は多い。macOS Venturaで追加された連係機能の中では、iPhoneのカメラをMacのウェブカメラとして使えるようになったことが特筆に値する。

Appleの連係機能一覧
Appleの連係機能一覧
提供:Apple

 おそらく、同氏はAppleのエコシステムがユーザーを囲い込んでいると言いたいのだろう。しかし、囲い込みはMacの専売特許ではない。例えば、WindowsのPhone Link機能はiPhoneには対応していないし、逆にAppleの連係機能はAndroid端末に対応していない。

 多くのユーザーはこうした境界がなくなることを願っていると思うが、これが競争というものだ。近い将来にプラットフォームを超えた連携が大幅に進むとは思えない。

最後に

 熱狂的な支持者たちが論陣を張り、OSの覇権を争う時代はもう終わった。上述のライターも、Windows派を応援するために記事を書いたわけではないだろう。むしろ、純粋にmacOSを試してみたかったのだと思う。しかし、Macの知識が十分になかったために、必要な情報にたどりつけなかった。

 これは、ある意味でMacの大きなメリットを伝えているとも言える。Macの世界には、ユーザー体験を広げ、カスタマイズするためのサードパーティ製ツールが豊富にそろっている。何らかの機能が欲しいと思った時はたいてい、その機能を実現できる小さくて優秀なユーティリティーがすでに存在する。確かに10ドル、12ドル、20ドルといった出費も、積み重なればそれなりの額になることは否定しない。しかし時間を節約したい時や、あり得ないほど短時間でクライアントに成果物を届けなければならない時には、こうした時短ツールに投資する価値は十分にある。

 特定のOSでしか動作しないプログラムを除けば、冒頭で挙げた3つの主要なOS――Linux、Windows、macOSはどれを使っても、たいていのことはできる。その上で、どのOSを使うかは各人の選択とニーズの問題だ。

 特定のOSを挙げて使えないと断じる前に、どうか少し調べてみてほしい。くだんのライターも、ちょっとネットを検索していれば、Macに失望することなく、その魅力に気付けたかもしれないのだから。

 あるいはいっそのこと、パソコンなどすべて捨てて、私たちは森での生活を始めるべきなのかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]