京セラ、危険かもしれない要因をAI認識する「車載ナイトビジョンシステム」

 京セラは10月11日、夜間、雨、霧などの視界が悪い環境下でも危険要因になる可能性のある物体を高精度に認識し、安全な運転を支援する「車載ナイトビジョンシステム」を開発したと発表した。

 
 

 車載ナイトビジョンシステムは、白色光と近赤外光の光軸を一致させたヘッドライトで照射された物体を、車両に搭載したRGB-IRセンサー(可視光と近赤外光センサー)で撮影。その画像データから独自のフュージョン認識AI技術を活用し、高精度に物体を検出できるという。世界初のシステムとなり、2027年以降の事業化を目指して研究開発を進めるとしている。

 
 

 車載ナイトビジョンシステムに用いる光源には、白色光と近赤外光を一体化して同じ光軸から発光できるヘッドライト(White-IR照明)を採用。これにより、光の当たり方に差が出ず、経年変化も生じにくいため、より精度の高い認識結果を表示できるという。

 同一体型ヘッドライトは、KYOCERA SLD Laserが独自開発した高輝度、高効率かつ小型パッケージのGaN製白色光レーザーの搭載で実現。ヘッドライト内の白色光をロービーム、近赤外光をハイビームなど、人や物に応じて配光を変化させることができるため、眩しさを抑えながらセンシングできるとしている。

 
 

 車両に搭載したRGB-IRセンサには、同社の先進技術研究所にて独自開発したフュージョン認識AI技術を採用した。同AI技術では、可視光画像による認識結果と近赤外光画像による認識結果の単純な足し算ではなく、可視光画像と近赤外光画像の両方から信頼性の高い領域を組み合わせて判断できるという。

 
 

 これにより、視界の悪い環境下でも高精度に歩行者や車両を検出し、危険要因の検知と運転者への通知が行えるとしている。

 加えて、従来手法では、膨大な近赤外光の学習データの収集が必要で時間とコストがかかっていたが、今回開発した手法では、可視光の学習用画像から近赤外光の学習用画像を自動生成する学習データ生成AI技術を確立。これにより、大幅な学習コストの削減と高精度な認識を両立できるという。

 
 

 京セラは今後も、路側機(Smart RSU)などとの連携によるインフラ側での交通環境の見守りシステムや、夜間の警備や配送などにおける小型低速モビリティへの応用など、安心、安全な交通社会の実現へと貢献していくとしている。

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