ニコンは、産業用の金属3Dプリンターを手がけるドイツ企業、SLM Solutions Groupを買収すると発表した(その1、その2、その3、その4)。買収金額は総額6億2200万ユーロ(約840億円)の予定。
SLMは、各種部品を3Dプリンターで作る付加製造(Additive Manufacturing:AM)分野の企業。試作から量産までカバーし、大型パーツの造形を得意とする。レーザー粉末床溶融結合(Laser Powder Bed Fusion:L-PBF)方式の金属対応3Dプリンターを、宇宙航空や自動車といった分野の150社を超える企業に750台以上納入している。
一方、ニコンは戦略事業として「デジタルマニュファクチャリング」を掲げ、完成品/コンポーネント/受託加工サービスなどの形で顧客に提供することを計画。特に、金属対応3DプリンターによるAM分野を有望視している。
ニコンは現在、指向性エネルギー堆積法(Directed Energy Deposition:DED)方式のAM技術を保有しており、SLMのL-PBF方式を得ることで、提供可能なソリューションが2種類になる。さらに、ニコンの持つ、光学技術や、画像処理技術、半導体露光装置などで培った精密な位置決め技術も活用できると見込む。
買収は、SLMの増資引き受け、普通株式および転換社債の公開買い付けを組み合わせて実施する。引き受け/買い付け価格は、83.7%のプレミアムを適用し、1株あたり20.00ユーロ(2700円)。
SLMの主要主株とは合意に至っており、SLMの完全希薄化後株式数の合計61.1%をすでに確保済み。
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