筆者は過去、チップをちりばめたコンタクトレンズ「Mojo Lens」を目に非常に近い位置に固定し、視界の中にディスプレイを出現させるデモを体験したことはあるが、実際に装着できたことはない。しかし、2022年内にはその機会を得られるかもしれない。Mojo Visionが数年前から開発しているスマートコンタクトレンズは、同社の最高経営責任者(CEO)を務めるDrew Perkins氏を筆頭に、ついに社内での装着テストが開始された。
筆者の取材にZoomで応じたPerkins氏は、Mojo Lensのアプリのデモをいくつか実演してみせた。テレプロンプターアプリでは、目の前のディスプレイに浮かんだ小さな文字を読み上げたほか、緑のモノクロで表示されたアルバート・アインシュタインの顔写真を見て、「実によく見える」と述べた。また、コンパスアプリは、内蔵の磁力計を使ってコンパスの表示をリアルタイムに表示するもので、筆者も過去に試したことがある。
Mojo Lensのハードウェアには、首からかけるプロセッサーが必要で、これがレンズとコンピューターの間で双方向に情報をワイヤレスで中継する。コンピューターがトラッキングする眼の動きに関するデータは研究に役立てられる。初期テストの現段階では、アンテナ内蔵の特殊な帽子でスムーズな接続を確保する必要があり、Perkins氏もデモ中にかぶっていた。
Mojo Lensには、小型のmicroLEDディスプレイ、短距離無線機、小型Armプロセッサーが搭載されている。加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサーによって、アイトラッキングも可能だ。こうしたハードウェア構成は、4月に私が目から離して見たレンズと同じだ。このレンズにより、視線によって制御されたヘッドアップディスプレイが宙に浮いているように見える。このアプローチは、モノクロ表示の「Google Glass」のような拡張現実(AR)インターフェースを、眼鏡を装着することなく実現することを目指すものだ。
Mojo Visionが現在実施しているのは片目だけのテストだが、次の目標は2つのレンズを両眼に装着し、2つのディスプレイを重ねて立体視を実現することだ。これまでのところ、Perkins氏は1回につき1時間程度レンズを装着して断続的にテストしているが、今後は同社の他の幹部もこのハードウェアを試すことになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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