「Pokemon Go」開発元のNianticは、スマートフォンを使ったクラウドソーシングによる実世界のロケーションスキャニングという新たな取り組みを開始する。同社は米国時間5月24日、拡張現実(AR)ベースの「Lightship」プラットフォームに関する初の開発者会議「Lightship Summit」を開催し、この取り組みを発表した。これは、同社のさまざまなゲームやアプリを共通のソーシャルプラットフォームに統合し、未来のスマートグラスに対応する「リアリティチャンネル」を構築するという目標に向けた、さらなる一歩だ。
Nianticの新しい世界マッピング技術は、クラウドソーシングで収集したコミュニティーベースのスキャン画像を基に、未来のスマートフォンアプリが利用できる、グローバルマップを構築するというもの。ゆくゆくは、ARグラスにも対応する予定だ。Nianticが今回発表した「Lightship VPS(ビジュアルポジショニングシステム)」は、多くのAR開発者が求めているものだ。すなわち、大規模なコラボレーション型のロケーションベースの体験を機能させるための、グローバルグリッドだ。
未来のARグラスを有効に機能させるには、スマートグラスが認識して連携できる実世界のマップが必要となる。Nianticは、ロケーションポイントからなる基盤を作成するためのマッピングに注力している多くの企業のうちの1社で、仮想物体を適切に重ね合わせて、他の人が見つけられるようにその場にとどめておくことのできる、実世界の場所のスキャン画像を収集している。
AR用の世界マッピングに取り組む企業は、Niantic以外にも多数あるが、同社は、多数のロケーションを独自の世界マップデータに統合するために、独自に都市スキャニングを行う一方で、コミュニティーから収集したスキャン画像を使って他のロケーションを構築するという、他とは異なる取り組みも進めている。
Nianticは、東京、ニューヨーク、サンフランシスコ・ベイエリア、ロンドン、シアトル、ロサンゼルスで、独自の都市ベースのロケーションスキャニングを行っている。今後どの地域を加えるかを示す指標として、同社のゲームであるPokemon Goや「Ingress」から取得した、プレーヤーに既に人気のロケーションを表す「ヒートマップ」も参考にしている。それと同時に、任意の開発者がNianticの新しい「Wayfarer」アプリを使用して、まだ地図がない地域にロケーションを追加できるようにもしている。
NianticのVPSマップ上には、ARゲームやアプリで利用できるロケーションが、既に3万カ所以上ある。それらの場所の多くが、公共の場や公園に意図的に分散されている。
Nianticは既に、Qualcommとともに未来のARグラスを開発する計画を立てているが、この技術は現時点ではまだ、スマートフォンベースだ。ゆくゆくは、世界マップ対応のARゲームを、Nianticの最高経営責任者(CEO)であるJohn Hanke氏が「リアリティチャンネル」と呼ぶ世界の中で、スマートフォンとスマートグラスの両方で動作させることを目指している。
Nianticは、新たなソーシャルネットワーク「Campfire」も発表した。VPSグリッド上でさまざまなアプリの間をつなぐものだ。イベントやチャットはCampfire上で発生し、ライブゲームや体験もその近くで発生する。Campfireは、ユーザーが知りたいであろう事柄を見つけるためのローカルな手段のようなものになる見込みだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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