マウスピース歯列矯正サービス「hanaravi(ハナラビ)」を手がけるDRIPSとヤマト運輸は5月18日、ヤマト運輸グループの輸送拠点などに設置されている3Dプリンターでマウスピースを製造し、配送するサービスを開始した。
hanaraviは、軽中度の歯列矯正に向けたマウスピース矯正。従来はワイヤーを利用した矯正が主流だったが、昨今、透明な素材を採用し目立ちにくく、ワイヤー矯正と比べ安価なマウスピース矯正のニーズが拡大しているという。
hanaraviでは、口腔内の3Dデジタルスキャンで歯形を採取するほか、矯正プランをメッセージアプリ「LINE」で確認でき、歯科医師などのメディカルチームがLINEのチャットで対応する。料金は歯列状態によって異なり、軽度矯正の場合で33万円(税込)から、期間は5~7カ月からという。サブスクリプション型のプランも用意している。
マウスピース矯正は、1~2週間ごとにマウスピースを交換し、歯列をミリ単位で少しずつ動かす方法のため、治療計画を立てるために1人あたり20~30段階の異なる歯形模型を用意する必要がある。また、歯列状態も個人で異なるため、コストの関係から、人件費の安い海外の歯科技工所に一括で製造を依頼して輸入する方法が一般的という。
一方、治療計画の変更などでマウスピースを破棄しなければならない場合や、海外で生産することで生じる輸送によるタイムロスから矯正を断念するケースなど、サービス提供側と患者側双方の課題もあった。
hanaraviでは、国内で3Dプリンターを用いて生産することで「短期間でのマウスピース送付、交換」「発注ごとにオンデマンド方式で製造し、ロスを防ぐ」など、両者の課題を解決し、矯正をより短い期間で完了させるとしている。
ヤマト運輸は2017年より、東京都大田区の拠点「羽田クロノゲート」に3Dプリンターを導入しており、人工関節の手術用治具の造形や、メディカル領域における試作品などを製造、配送してきた実績がある。今回のマウスピースの製造にあたっては、歯型造形用データから3Dプリンターの造形に適したデータへ自動補正するツールを新たに開発した。
マウスピースのオンデマンド・カスタマイズ生産は国内初といい、3Dプリンターによる製造から最終製品の仕上げ加工まで全工程を機械化している。
今後、DRIPSはhanaraviの提携歯科医院数を増やし、多くの患者を受け入れできる体制を構築するほか、OEMでの製造も行うとしている。ヤマト運輸は、羽田クロノゲートのほか、全国のヤマト運輸主要拠点に順次3Dプリンターを増設し、患者に近い拠点で製造することで迅速に提供できる体制を強化していくという。
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