複数の環境保護団体が共同で、ビットコインのネットワークに使われるコンセンサスアルゴリズムの変更によって、エネルギー消費の削減を目指すキャンペーンを米国時間3月29日に開始した。
このキャンペーンは、「Change the Code, Not the Climate」(コードを変えよ、気候を変えるな)をスローガンに掲げている。同スローガンは、国家規模の電力を消費するビットコインネットワークのコードを変更するよう訴えるものだ。
これに参画するグリーンピースUSAや環境ワーキンググループ(EWG)などの環境保護団体は、ビットコインのブロックチェーン(取り引きを記録する分散型台帳)を、現在のプルーフ・オブ・ワーク(Proof-of-Work:PoW)方式から、プルーフ・オブ・ステーク(Proof-of-Stake:PoS)方式に切り替えるよう求めている。PoSはPoWよりエネルギー消費が少ない。
グリーンピースUSAでキャンペーンディレクターを務めるRolf Skar氏は米CNETの電話取材に対し、「後で何らかの災難に見舞われるより、できるだけ早く温室効果ガスの排出量を削減できるよう、思慮深く管理された変更を実施する方がいい」と述べた。
PoWでは、エネルギーを大量に消費するコンピューター機器を使って数学的な問題を解くことでブロックチェーン上の取り引きを検証しており、このプロセスはマイニングと呼ばれる。問題を解いたマシンのマイナー(採掘者)がコインで報酬を得る仕組みだ。これに対してPoSモデルでは、ブロックチェーンのブロックを生成するコンピューターが無作為に選ばれる。マイナーがPoSプロセスに参加するには、担保として一定量のコインを提供する必要がある。
このキャンペーンの背景として、米国ではビットコインのマイニング事業が活況を呈しており、気候危機を引き起こすCO2の排出が多い石炭火力発電所のビジネスが復活している。ビットコインのマイニングは、中国で2021年に禁止されて以降、米国で盛んになった。米国は今や、中国に代わりビットコインのマイニング作業が最も多い国となっている。
「米国では、最前線の地域社会の戦いが各地に広がっており、化石燃料による発電所の中でも運転を休止していた施設や廃炉予定だった施設が突如、ビットコインのマイニング作業という形で新たな顧客を獲得している」(Skar氏)
英ケンブリッジ大学のビットコイン電力消費指数(CBECI)によると、ビットコインはノルウェーやスウェーデンなど多くの国よりエネルギー消費が多いという。The New York Timesの推計では、世界の電力消費量全体のうちビットコインの消費量は0.5%を占めている。
時価総額でビットコインに次ぐ2位の仮想通貨、イーサのネイティブブロックチェーンであるイーサリアムブロックチェーンをサポートしているイーサリアム財団は、少し前からPoWからPoSへの変更を計画している。切り替えは延期されたが、計画自体に変更はなく、2022年第2四半期に実施する予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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