FANTAS technologyは3月2日、ユニメディアとともに、不動産クラウドファンディング事業において、ブロックチェーン活用の分散型共有管理で「本人確認」ができるKYCコンソーシアムの設立に向けた共同研究を開始すると発表した。
FANTAS technologyは、1口1万円から投資ができる不動産クラウドファンディング「FANTAS fundingなどの不動産テックサービスを運営。一方のユニメディアは、DX事業構築を実現するワンストップ支援サービスパッケージ「cellF」を提供している。
FANTAS technologyによると、2017年の不動産特定共同事業法の改正により、電子取引業務の環境が整ったことで、不動産特定共同事業者および小規模不動産特定共同事業の投資型クラウドファンディングへ新規参入する企業が増加。1万円程度の小額から不動産投資ができるため、利用者も増加しているという。
その一方で、不動産クラウドファンディングサービスの利用には、運転免許証やパスポートなどを使った本人確認を伴う会員登録が必要となり、登録から投資実行まで数日間を要するうえ、複数の投資先を探す際は、登録のたびに本人確認情報が必要となる。
このような現状から、両社は今回、不動産クラウドファンディングサービスにおける登録作業の効率化およびKYCの効率化、安全性の向上を目的にとした共同研究を開始。データの改ざん・消失が極めて起こりにくいとされるブロックチェーン基盤を用いて、両社が情報を共有するためのKYCコンソーシアムを設立し、クラウド上にKYC業務基盤として実装する予定だ。
コンソーシアムと不動産クラウドファンディングサービスがAPI連携することで、新たな会員登録の際、すでに本人確認を行って会員登録をしたほかのサービスに、本人確認済みであることを確認し、事務手続きを簡素化する仕組みを設けることを想定している。
なお、KYC業務で取得した個人情報は、事業者自体が管理するため、情報漏洩やデータ消失のリスクが事業者ごとに存在するなど、課題もあるとしている。これら課題についても、KYCコンソーシアムを設立することで、ユーザーにとっては、複数の企業やサービスに個人情報を提供する必要がなく、個人情報流出リスクの低減が期待できるとしている。
また、不動産クラウドファンディング事業者においては、KYCコンソーシアムと連携し、KYC情報を迅速かつセキュアに共有することで、自社における顧客の本人確認情報の管理が不要となり、各事業者の業務効率化につながるとともに、個人情報を持たないことによるKYC管理コストと運用リスクの低減が期待できるとしている。
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