マイクロソフトのゲーム会社買収はメタバースへの布石か、真の狙いを探る - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年01月21日 07時30分

 Microsoftのゲーミング部門の責任者であるPhil Spencer氏は、同じ電話会議で、特にスマートフォンに言及していた。「メタバースに対するわれわれのビジョンは、強力なフランチャイズに根ざして交わるグローバルコミュニティーが基盤となっている。モバイルがゲームの最大のカテゴリーであるという事実が、その大きな要因だ。モバイルは、われわれがこれまで大きな存在感を示してこれなかった分野でもある」

 メタバースは、スマートフォンを含むコネクテッドデバイスの大きな集合体なのだろうか。それとも、単にゲームが、すでにそこに向かって進んでいるということなのだろうか。

サブスクリプションサービスはメタバースへの入り口なのか

 真面目に疑問に思っていることがある。筆者の生活には、フィットネスやテレビ、ストレージ、ゲーム、音楽など、ありとあらゆるサブスクリプションサービスが浸透している。それを踏まえると、サブスクリプションは、言ってみれば、大手テクノロジー企業が期待するメタバースの未来への入場券なのではないか、と考えるようになった。

 Appleには、音楽、ゲーム、映画、フィットネスにまたがる多層的なサブスクリプションモデルがあるように、Disneyには「Hulu」と「ESPN」も含めたパッケージがあり、MicrosoftにはGame Pass(と「Microsoft 365」)がある。Metaが最近、フィットネスアプリの開発元を買収したことは、より多くのVR向けサブスクリプションが開発中である可能性を示唆しているのかもしれない。HTCは「HTC Vive」で何年も前から同じことをやっている。

 Activision BlizzardとMicrosoftについて考えるとき、何よりも筆者の頭に浮かぶのはGame Passだ。モバイルに関するPhil Spencer氏のコメントも気になった。サービスにサブスクリプション登録することが、さまざまなモノに接続する手段となるのであれば、VRおよびARヘッドセット(あるいは未知の何か)の新しい波がついにやって来たときに、サブスクリプションが最も重要な要素になるのだろうか。

 Microsoftは何年も前からVRとARに注力しているが、XboxはまだVRヘッドセットをサポートさえしていない。Activision BlizzardとXboxは現時点ではVRやARに本格的に取り組んでいないが、メタバースに関するビジネスの構想で、必ずVRやARが関連していなければならないわけではない。人気コンテンツを全て手に入れることは、一時的な戦略として追求していることなのだろうか。それとも、筆者がこの話を知った当初からずっと、人気コンテンツこそが目的だったのだろうか。

Microsoft、そして他の企業もコンテンツを囲い込もうとしているのか

 買収に関して、懸念されることは他にもある。近頃、あらゆる企業が他の企業を買収しているように思えることだ。DisneyはMarvel、「スター・ウォーズ」制作元のLucasfilm、21st Century Foxを手に入れ、MicrosoftはBethesdaの親会社ZeniMax Media(その前はMinecraftの開発元のMojang)をすでに手中に収めている。ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、Insomniac Gamesなど、大規模なゲームスタジオの多くを買収した。Metaは、多くの大手VRゲーム開発企業(フィットネスに進出している企業も含む)を買収している。数が多すぎて、どの企業がどの企業を買収したのかを把握するのが難しくなっているほどだ。

 誰もが売り込もうとしているメタバースの概念は、オープンでクロスプラットフォームであることを約束し続けている。その一方で、Activision Blizzard買収のような動きは、私たちが何らかのデバイス(ノートPC、ゲーム機、スマートフォン、VRヘッドセット、それともスマートメガネだろうか)でストリーミングしたり、プレイしたりするゲームや映画、その他のコンテンツにアクセスする手段が、いくつかの大企業の所有物になってしまう可能性を示している。

 人々がやることや見るものを企業が吸収しようとすると、人々は必ず違うことをやる方法を見つけるようだ。やがて、それらも吸収され、また新しいものが出現する。これは、終わりのないコンテンツの輪なのかもしれない。あるいは、メタバースの約束が、つながった世界の隅々までさらに広がるインターネットを示唆しているように、誰もがもう一度、その一角一角を自分のものにしようとしているのかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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