Snapの新しいARサングラス「Spectacles」を試して感じたARメガネの現状 - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年12月13日 07時30分

 Snapchatは、そのスマートフォンベースのアプリに、より高度なAR機能を追加し続けている。開発者が作成したレンズは世界を「メッシュ化」する(AppleのLiDAR搭載「iPhone」および「iPad」のように、さまざまな物体や障害物を含む環境を3Dスキャンする)ことができ、それを通常のスマートフォンカメラで実行する。Snapchatのレンズでは、現実世界の場所に、カスタム設計されたARを重ねることもできる。「Landmarker」機能は、以前は現実世界の一部の場所でしか利用できなかったが、Snapは、今後誰でも現地の場所をスキャンしてARエフェクトを作成できるようにしようとしている。同社が各所のARエフェクトの作成をどのように管理するのかは不明だ。

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Spectaclesには、3D効果を生み出す導波管がある。筆者はそれらを使用するためにコンタクトを着用しなければならなかった。
提供:Scott Stein/CNET

 だが、これはスマートメガネにとって何を意味するのだろうか。2021年5月に発表されたSnapのARメガネ「Spectacles」は、依然として開発者だけを対象としている。同社は開発者への提供台数を徐々に増やしているが、この種のテクノロジーが一般向けに発売される時期については、何も決められていない。それにはもっともな理由がある。SnapのARメガネは、バッテリー持続時間が非常に短く、通常のメガネに重ねて装着することができない(筆者はコンタクトレンズを付けなければならなかった)うえ、視野も非常に狭いからだ。しかし、現在のところは、メガネでスマートフォンARアプリがどう機能するのかを開発者が模索するための基礎的要素の役割を果たしている。

 このARメガネが開発者のテストに役立つであろう理由は、筆者にもよく分かる。Snapのメガネの最も優れている点は、他のARヘッドセットと違って、屋外でも使用できる明るさを備えていることだ。筆者を驚かせたものもいくつかある。木とポーチの間に仮想の照明をつるしたり、庭で筆者を追いかけ回すゾンビから逃げたりするデモは、屋外用のウェアラブルメガネが主流になったらどんなことが可能になるのかを考える際のヒントになる。

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提供:Andre Elijah

 また、Spectaclesはスマートフォンのアクセサリーとして設計されているが、Wi-Fiに接続すれば、単独で動作する。Metaのスマートグラス「Ray-Ban Stories」と同じように、1つのアプリと直接ペアリングする。Snapchatで機能するレンズは、Spectaclesに読み込むことも可能だ。Snapが目指しているのは、スマートフォンARの完成度を十分に高めることにより、ARメガネに移行する人が、ある意味、機能などよりもフィット感や形状を重視して製品を選べるようにすることだ。

 Snapは、スマートフォンとヘッドセットのARに関して、現実世界により近づけることと、コラボレーション機能を向上させることに注力している。複数のユーザーが同じ体験を共有することができる「Connected Lenses」機能が、開発者専用のSpectaclesに提供される予定だ。しかし、Snapchatでは、同じ体験内でスマートフォンとSpectaclesが相互につながる方法がまだ確立されていない。その機能は将来的に提供される可能性があるが、SnapのARメガネは依然として純粋に開発者専用のハードウェアであるため、そのことは現時点では問題にならないかもしれない。実際のところ、Snapの最も面白いAR機能のほとんどは、まだスマートフォンに対応している。

 それも、2021年末時点でのARの現状を浮き彫りにしているのだろう。ARを試してみたいのなら、スマートフォンを使わなければならないということだ。ARメガネは、Snapchatにとっても、他のほぼすべての人にとっても、まだ開発の途上にある。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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