キリンビールは11月29日、ビール類を製造する「仕込」「発酵」の工程で、AIを活用して最適な仕込・酵母計画を自動で立案するシステムをNTTデータと共同で開発したと発表した。すでに全国9工場で試験運用を開始しており、2022年1月から本格運用を開始する予定という。
発泡酒や新ジャンルも含めたビールの醸造は、「仕込」「発酵」「貯蔵」「ろ過」「保管」の5つに大分される。今回システムで自動化したのは、原材料を仕込み、どの液種をどのタンクに移していくかを計画する仕込と発酵の工程だ。
同社によると、ビール類の原材料を仕込み、発酵する工程の仕込・酵母計画業務は、熟練者の知見に頼る複雑な作業という。さまざまな条件を勘案しながら立案するため、作業に時間がかかり、技術伝承が難しい業務の一つ。それをシステムの導入で確実な熟練技術の伝承を可能にしたという。さらに、業務効率を改善し、システム導入前に比べて全9工場合計で年間1000時間の時間創出も見込む。
NTTデータは、2020年12月からキリンビール各工場で導入している「ろ過」計画の自動化システムをベースにし、今回の仕込・酵母計画の自動化システムを開発した。開発にあたっては、各工場の熟練者へのヒアリングで制約を洗いだし、問題に対する制約条件を満たす答えをコンピュータで効率よく見つける「制約プログラミング技術」を活用したという。
今回発表のシステムの導入により、既存のろ過計画自動化システムとあわせ、ビール類を醸造する計画業務すべてにおいてAI導入を実現した。全9工場で計4000時間以上の時間創出を見込み、各工場では、創出された時間でさらなる品質向上に向けた取り組みや、若手の育成などを行うとしている。
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