リコーは6月21日、発話した音声をリアルタイムにイラスト化してコミュニケーションできるシステム「piglyph(ピグリフ)」を開発したと発表した。
サービスは検証段階で、2022年度に正式リリース予定。システムは、日本語以外に英語、中国語に対応する。
piglyphは、音声や入力された文字に紐づいたイラストがリアルタイムで画面上に提案され、その中からもっともイメージに合ったイラストを選んで利用するシステムだ。ウェブ上で利用できるホワイトボードのようなイメージで、だれも簡単にアイデアを視覚的に表現したり、共同で一つのイメージを作り上げたりできる。
実際の対面環境であれば、手元のメモに絵を描いて説明する、スマートフォンの写真を見せるなど絵やモノを通じた非言語コミュニケーションもしやすいが、オンライン環境下では困難になりがちだ。piglyphを使うことで、1つのページを会話などを交えて共同編集することで意見交換し、双方向性を高めたコミュニケーションがとれる。また、直感的に議論を可視化できるほか、視覚情報として残すことで直感的に振り返りやすいこともメリットの一つだ。
企業や学校の学習プログラムや会議などでの活用を想定しており、オンライン環境下でもコミュニケーションの質の向上や共同作業を円滑に進める効果が期待できる。
正式オープンに先駆け、6月21日より角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校、S高等学校で、オンラインワークショップのツールとして導入。さらに、リコー社内の会議などでも活用していくという。
piglyphは、リコーの起業支援プログラム「TRIBUS2020」の社内起業から誕生した企画だ。同社TRIBUS推進室の渡辺恵里氏が、エチオピアで教育に従事したときの"非言語コミュニケーション"から着想を得たもので、リコーの画像処理技術なども活用している。
また、実証実験の一環として、動画配信中のコミュニケーションツールとして貸し出すなど、幅広い用途での応用も想定しているようだ。
報道向け体験会では、「好きな都道府県」をテーマに参加者がボードに共同編集した。体験会のデモとして、リコー TRIBUS推進室の内藤拓朗氏が出身地の群馬県をpiglyphの音声認識とイラストを交えて紹介すると、参加者からは収録イラストの幅広さに驚きの声が上がった。イラストは、都道府県や食べ物、乗り物など2000点を収録しているという。
体験では、各記者がpiglyphの拡大機能やイラスト、マウスでの手書き機能を活用して、各都道府県のイメージを紹介した。piglyph自体にボイスチャット機能がないので、別途Zoomなどのツールで会話をとる必要はあるものの、テキストや音声入力による検索でイラストを選択してキャンバスに筆画していく様子は、学生時代のグループワークを彷彿とさせるものだった。
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