日本電気(NEC)は6月7日、カゴメと2020年4月から共同で事業展開をしている農業ICTプラットフォーム「CropScope」において、営農改善に役立つ各種機能を追加したと発表した。
CropScopeは、センサーや衛星写真を活用したトマトの生育状況や圃場環境(土壌の状態)を可視化するサービスと、AIを活用した営農アドバイスを行うサービスで構成。
熟練栽培者のノウハウを習得したAIが、水や肥料の最適な量と投入時期を指示するため、加工トマト生産者は栽培技術の巧拙に関わらず、収穫量の安定化と栽培コストの低減が期待でき、地球環境に優しい農業を実践できるという。
また、熟練者の営農ノウハウの形式知化により、技術継承や優秀な熟練栽培者の営農を再現でき、産地の拡大や新規就農者の営農支援が行える。
加えて、トマト一次加工品メーカーの管理者や生産法人のオーナーは、自社圃場や契約農家の圃場におけるトマトの生育状況を網羅的に把握できるため、客観的なデータに基づいた全体最適な収穫調整が可能となり、生産性の向上が図れるようになる。
同社によると、カゴメおよび、オーストラリアのカゴメ子会社(KAGOME Australia)と共同で、2020年にCropScopeの実証試験を実施したという。
これまでCropScopeを適用してきたポルトガルとは土壌や品種、灌漑設備など栽培条件が異なるため、地下灌漑での土壌水分シミュレーションやオーストラリアでの熟練栽培者のデータを学習し、分析手法などを強化した。
これにより、北半球から南半球まで、環境が異なる状況下においても、熟練栽培者と同等の収穫量が実現できるようになったという。
また、CropScopeを活用する世界各国のユーザーの声をもとに、土壌水分変化などの圃場異常を通知する機能、営農判断の優先順位を圃場毎にリスト化してデータをシンプルに表現する機能、蓄積データを活用して営農改善や振り返りに活用できる圃場間比較分析機能などを追加。アプリケーションの利便性向上を図った。
両社は今後、主に欧州や米州などのトマト一次加工品メーカーやトマト生産法人に向けた提案を強化し、同事業の成長スピードを加速していくという。
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