欧州連合(EU)の欧州委員会と英国の規制当局である競争・市場庁(CMA)は現地時間6月4日、Facebookが広告データを不当に利用している可能性について、競争法違反の疑いで調査を開始したと発表した。
欧州委とCMAは、Facebookが広告主から収集するデータを利用して広告主と直接競合することにより、市場での支配的な地位を乱用し、競合各社を不利な立場に追い込んでいるとの懸念を抱いている。欧州委はまた、Facebookがソーシャルネットワークサービスとオンラインのクラシファイド広告サービス「Facebook Marketplace」を紐付けているかどうかについても特に調査する予定であり、一方のCMAはマッチング機能「Facebook Dating」について調査するとしている。
欧州委の競争政策担当委員を務めるMargrethe Vestager氏は、「Facebookは、自社のソーシャルネットワークのユーザーとそれ以外のユーザーの活動について膨大な量のデータを収集し、特定のユーザーグループをターゲティングできるようにしている」と述べた。
Facebookの広報担当者は、同社が「それらに根拠がないことを示す」ため、調査に全面的に協力すると述べ、さらに「当社はFacebookユーザーの進化する要求を満たすために常により良い新サービスの開発を続けている。MarketplaceとDatingは先行している大企業が多数ある非常に競争的な環境で運営され、ユーザーに新たな選択肢を提供している」とした。
テクノロジー大手に対するEUの調査は決して目新しいものではないが、Facebookに対する調査が予備段階を超えたのは初めてのことだ。
英国は2020年1月にEUを脱退する前、欧州委と同時に独自の反トラスト関連調査をすることはなかった。しかし現在、各々の調査は独立しているものの、2つの規制当局は密接に協力する意向だ。つまり、Facebookは英国とEU、双方の競争法に違反していた場合、二重の罰を受ける可能性がある。
CMAの最高責任者であるAndrea Coscelli氏は「われわれはFacebookによるデータ活用を徹底的に調査し、同社の事業慣行がオンラインデートやクラシファイド広告の分野で不公平な優位性をもたらしていないかを徹底的に調査するつもりだ」と述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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