新型コロナの早期診断と重症化を予測する「AI 聴診デバイス」で共同研究

 シェアメディカルは5月13日、聖マリアンナ医科大学 大学院医学研究科医療情報処理技術応用研究分野 小林泰之教授らと共同で、AI(人工知能)を活用した新型コロナウイルス感染症肺炎(COVID-19)の早期診断・重症化予測を可能とする「AI 聴診デバイス」の共同研究を行うと発表した。

 シェアメディカルは、手持ちの聴診器に後付けしてデジタル化できるデジタル聴診デバイス「ネクステート」を販売している。振動を電圧に変換する従来の圧電素子(ピエゾ素子)型の電子聴診器ではなく、機械式聴診器の微弱な音をデジタル化する生体音増幅型方式を採用しているのが特徴。

 開発当初は、検診時に聴診器の付け外しで外耳が痛くなるという悩みを解消する目的で開発。市販のヘッドフォンやスピーカーなどとワイヤレス接続する事で、原音を忠実にデジタル化し、医師に届けることを設計のコンセプトとしていた。

 しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大という環境において、医療従事者の感染防護に役立つと、現在国内900施設以上が採用しているという。

 今回発表した同研究は、with/afterコロナ時代の医療に必要不可欠なデバイスの開発が目的。日本国内だけでなく、新興国など医療資源が限られた国において、早期診断・重症化予測を実現するAI聴診デバイスの実用化を目指す。

 なお、同研究は、科学技術振興機構(JST)のA-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)で採択されている。

 A-STEPは、大学・公的研究機関などで生まれた科学技術に関する研究成果を国民経済上重要な技術として実用化することで、研究成果の社会還元を目指す技術移転支援プログラム。

 大学などが創出する社会実装志向の多様な技術シーズの掘り起こしや、先端的基礎研究成果を持つ研究者の企業探索段階からの支援を適切なハンズオン支援の下で推進。中核技術の構築や、実用化開発などの推進を通じた企業への技術移転を行っている。

 さらに、ハンズオン支援などを通じ、産学連携活動のノウハウを提供し、産学連携に取り組む研究者の裾野拡大を図っている。

 臨床現場で肺炎の診断や鑑別診断を行う上で、聴診は不可欠な手技。そこで、デジタル聴診デバイスにAIを活用した自動診断システムを組み合わせ、高精度かつ、効率的な新型コロナウイルス感染症肺炎の早期診断や、重症化予測を可能とするAI 聴診デバイスを目指す。

 同デバイスを利用すれば、医師が同行しない訪問看護や高齢者福祉施設においても、新型コロナウイルス感染症肺炎を早期発見できるとしている。

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