パナソニックは3月5日、社会課題の解決を図るソリューションを、インドなどグローバルな成長市場から、日本などの成熟市場へ導入、提供、展開していく「リバースイノベーション」により、イノベーション創出を加速させる実証実験の開始を発表した。新たな取り組みとして、地域のプロスポーツクラブと連携した「IoT活用の子どもの見守りサービス」を実施する。
パナソニックによると、成長途上にある市場には、成熟市場にはない潜在ニーズが数多く存在し、成熟市場にある既存システムもないことから、新規事業創出を高いスピード感で取り組むことが可能だという。
その一方で、成熟市場にも取り残されたニーズが存在し、それぞれの市場のニーズを結びつけ、循環するエコシステムを構築することで、イノベーション創出が継続的に起こっていく、組織的なスキームとなり得るとしている。
パナソニックでは、こうした国や地域、社内での役割を超えた、商社的な機能を持つ新規事業特化型の事業開発組織として、2020年10月に「クロスボーダー準備室」を設立。成長市場のインドにあるパナソニックインド(PI)とともに、事業化加速を図る。
具体的には、PI傘下のインドイノベーションセンター(IIC)と連携し、IICの事業化テーマである、Bluetoothビーコンを使った紛失防止ソリューション「Seekit」と、米国シリコンバレーで創出した、心を「見える化」する「ENY feedback」を組み合わせた、IoT活用の子どもの見守りサービスを、茨城県水戸市にて、Jリーグ水戸ホーリーホックとともに実証実験を開始。小さく手軽にスタートできるIoTサービスを通して、地域のくらしに密着した社会課題解決に貢献したい考えだ。
パナソニック イノベーション戦略室 クロスボーダー準備室推進責任者の中村雄志氏は「日本を含む成熟地域での新規事業創出は非常に苦労しているのが現状。しかしグローバルでは成功例もあり、その筆頭がインドだ。すでに10件以上の売上を伴う新規事業を実現している。今回の取り組みは成熟市場と組織にイノベーションの循環を起こすためにインドのリソースを活用するもの。2020年10月に設立したクロスボーダー準備室だが、すでに5カ月で21件の現場実装を実現している」と成果を話した。
また、本活動では、新規事業の事業開発プロセス全体のDXにも取り組んでおり、新規事業のマーケティングプロセスや、B-T-C(Business-Technology-Creative)/ジョブ型チームのエンゲージメント向上などにつながるソフトウェアテクノロジー、データ活用しており、これらの取り組みを通じて、パナソニックにおける事業創出活動を加速するとし、すでに、今回の事業開発プロセスの社内展開も開始している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」