ソニーが取り組む「音源分離技術」は、多くの可能性を秘めた新技術だ。一発録りしたオーケストラの音源を、楽器ごとに取り出して再配置したり、以前に収録したレコーディングのボーカル部分を取り出して、新たなアーティストとデュエットさせたりと、思いもよらなかった新しい使い方が可能になる。
これは、いろいろな音が混ざった演奏でも、それぞれ楽器の音を区別して聴いているという人間の脳の特性を応用した技術。機械にはできないことだが、AIを使うことで、成功した。
ソニーは音源分離技術を1990年代から研究しており、このジャンルの国際的なコンペで、3回連続の1位を獲得するなど、世界でもナンバーワンの実力を持つ。すでにこの音源分離技術を採用した4K UHD版の「アラビアのロレンス」や「ガンジー」のDolby Atmos版も発売されている。実際、視聴してみると、セリフ、効果音、音楽などがほんとうに完全に分離し、より迫力が感じられた。
この技術には、どんな音源にも使える。ドラマに使えば、著作権処理が難しい音楽だけを取り除いたり、スマートフォンで撮影した動画のノイズを除去したりと、さまざまな活用が考えられる。すでに、ソニー・ミュージックソリューションズは、音源分離技術のライブラリをLINE MUSICに提供。音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」内でカラオケが楽しめる追加機能として使用している。
あらゆるジャンルに活用ができる、新たな技術である音源分離に今後も注目していきたい。
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