出前館は12月21日、イートインスペースを持たずキッチンひとつで開業できるデリバリー専門店「クラウドキッチン」を東京都江東区大島にてスタートすると発表した。
クラウドキッチンは、出前サービス「出前館」のデリバリー拠点を併設しており、1階にはバイクや自転車の駐車スペース、3階には出前館の配達オペレーション室を設置。近日中には、自動検温システムや勤怠システムなど最新設備を導入する予定だという。
また、商品の受け取り時間を短くできるようにピックアップカウンターを設け、配送時間短縮を考慮した。
同社によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりデリバリー・テイクアウト需要が拡大。同社が運営する出前館の8月末時点の通期オーダー数は3707万件と、2019年同期比で31%増になっているという。
外出自粛によるイートインの売り上げ減少を補填するために、デリバリーを導入する飲食店が増え、各デリバリー企業の販売プラットフォームでは、利用者へと商品を選んでもらうために工夫が必要になっている。
近年、クラウドキッチンやゴーストレストランといった店内飲食スペースを設けずに、キッチンひとつでデリバリーやテイクアウト用の調理に特化した施設が増加。配達代行業者による商品の配送や、利用者自身のピックアップによって商品を提供する新しい飲食のビジネスモデルが増えている。
さらに、新規で飲食店を開業する場合、好立地の賃貸料や接客スタッフの人件費、内装費など多額なコストが発生。これらが不要なクラウドキッチンの場合、開業初期費用を半額から10分の1程度に抑えることも可能だとしている。
そこで同社では、新たに東京都江東区大島に3つのキッチンを備えた調理スペースと、飲食店の配達代行を行うための配達オペレーション室を兼ね備えたクラウドキッチンをオープンし、新たにデリバリーブランドを展開・拡大したい個人・企業の公募を実施した。
低リスクで事業トライアルができる店舗(厨房スペース)と、販売販路(「出前館」への掲載)、さらに同社が蓄積しているデータを駆使したデリバリーのノウハウを提供し、デリバリー新規参入希望者の立上げやデリバリーブランドの販路拡大をサポートするという。
施設利用料は、税込月額18万円(家賃、厨房設備利用料金、水道・ガス・光熱費込)。デリバリー資材費などは飲食店負担。敷金は利用料金の2カ月(36万円)。退出時に現状回帰など、清掃費用と相殺し残金発生時は利用者へ返金となる。
なお、ヴァーチャルキッチン(メインブランドの「野郎ラーメン」など4ブランド)のほか、N Fit Food(ドライエイジング近江牛丼「牛 bako」と地元の野菜を使ったカレーブランド)、ノムノ(低温調理されたSNS映えする肉ブランドと、丼ぶりのブランド)、パンフォーユー(冷凍パンサービスを展開)、cake.jp(冷凍ケーキを展開)、三度目のラーメン一代(ラーメンキットを提供)が出店を予定する。
これにより、「冷凍パン」やこれまで商品数が少なかったという「冷凍デザート」や「ミールキット」などが拡充したことになる。同社によると、時間指定でのオーダーが多く、他のユーザーとの注文を組み合わせることにより一度の配達で2〜3つの商品を同時配達でき、配達効率が上げられるとしている。
クラウドキッチン併設型デリバリー拠点は、出前館ならではの配達拠点を生かした取り組みになるという。デリバリーに特化した新しいビジネスモデルであるクラウドキッチンと、出前館の配達代行サービス「シェアリングデリバリー」が併設する新たな業態になるが、どちらも出前館のノウハウを生かし、多角的に飲食店のサポートができると考えているという。今後は、首都圏を皮切りに地方への展開も予定する。
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