GAFAが大金を投じた素晴らしいオフィスは今、ほとんど空っぽだ

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 編集部2020年12月27日 07時30分

 Appleは、「宇宙船」と呼ばれるカリフォルニア州クパチーノの本社キャンパス「Apple Park」の建設に50億ドル(約5170億円)投じたと報じられている。Uberは、現在本社として使っているサンフランシスコの2つのビルに、向こう10年で少なくとも10億ドル(約1030億円)費やす計画だ。Microsoftは現在、ワシントン州にある約2平方kmの本社キャンパスを再開発中で、そのコストは数億ドルに上る見込みだ。これらの本社キャンパスに共通することがある。それは、2020年のほとんどの期間、空っぽだったことだ。

 だた、新型コロナウイルスのワクチンのお陰で、2021年中には従業員が戻ってくるだろう。

Apple Parkで発表イベントを収録したAppleのCEO、Tim Cook氏
Apple Parkで発表イベントを収録したAppleのCEO、Tim Cook氏
提供:Apple

 これらの企業がまだ把握できていないのは、従業員員が戻ったオフィスがどのような状態になるのかということだ。不動産管理会社も企業自体も、新たな日常がどのような形になるのかを模索している。

 技術系従業員にとっての勤務方式は、ハイブリッドになるだろう。週の何日かはオフィスで、残りは家で仕事をすることになる。企業が好きな場所で仕事ができるフリーアドレス制を採用する中、デスクの割り当てもなくなるだろう。ハードウェアメーカーは、マシンが稼働するラボを拡張するだろう。コラボレーションの雰囲気を求めてオフィスに来る従業員もいるだろう。 

 企業はオフィス環境を整えるまで、しばらくはいろいろ試すことになるだろう。少なくとも、パンデミックが終わっても、物事が以前と同じ状態に戻ることはなさそうだ。

 企業の職場環境構築を支援する不動産サービス企業CBREのシニアマネージャー、Kasey Garcia氏は、「1度箱から出た猫を元に戻すのは難しいものだ。それに、そんなことをすればせっかくの機会を逃すことになる」と語った。

 多くのテクノロジー企業は、この新しい日常がどのような形になるにせよ、しばらくはこの業界がどう機能していくかを形作っていくことになる。テクノロジー企業はこれまで、優秀な人材を引きつけるために、ハイセンスな職場や無料のカフェ、ヨガ教室のようなアクティビティーを奨励するなどの職場文化のアイデアを普及させてきた。従業員を可能な限り長くオフィスに滞在させることに役立つこうしたアイデアは、テクノロジー業界に広まっている。

 こうした文化がすべて消えるわけではない。企業は、予定より少人数の従業員を迎えることになるぴかぴかの新オフィスに数十億ドル掛けた(あるいは掛ける予定)のだから。その代わり、従業員による使い方が変わるだろう。

 テクノロジー企業が行うことはなんであれ、一般人の働き方にも影響するだろう。Microsoft、Google、Slack、Zoomなどのテクノロジー企業が開発した生産性およびコラボレーションのアプリはリモートワークに役立つため、他の業界にとっても頼れる選択肢になっている。

リモートワークする人
われわれは、最終的にはオフィスに戻ることになるが、以前と同じにはならない。
提供:Getty Images

 多数の従業員が、コロナ以前の働き方に戻ることをためらっているため、新たな考え方が求められている。専門家も企業も、こうした変化が何年も続くとは思っていない。だが、変化は始まっている。

 不動産サービス会社Newmarkでリース仲介を手掛ける副会長、Elizabeth Hart氏は「リモートでできる仕事はたくさんあり、一方でオフィスに行く理由もある。それがより良いワークライフバランスにつながるといい」と述べた。同氏は、この変化はコロナ禍だけのせいではないと付け加えた。ここ数年、従業員は心身の健康、持続可能性、家族とのワークライフバランスについて不安を表明していた。

 だが、コロナ禍によってリモートワークの実験を強いられることになり、人々は在宅勤務も許される場合のオフィスの在り方を再考している。「われわれ全員にとって本当に良い新しい働き方になるだろう」(Hart氏)

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