GAFAが大金を投じた素晴らしいオフィスは今、ほとんど空っぽだ - (page 2)

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 編集部2020年12月27日 07時30分

2021年も同じ

 テクノロジー企業は一般に、従業員中心の文化を持つとみられているが、それには厳しい勤務スケジュールが伴う。コロナ禍以前、Apple、Facebook、Googleなどは、従業員にオフィスへの毎日の出勤を期待していることで知られていた。

コロナ禍以前は、毎日数千人もの従業員が、Google、Facebook、Appleの専用バスで通勤していた。
コロナ禍以前は、毎日数千人もの従業員が、Google、Facebook、Appleの専用バスで通勤していた。
提供:CNET

 これらの企業は、従業員がサンフランシスコベイエリアを横断する数時間の通勤中、貴重な時間を無駄にしないで済むように、専用バスにWi-Fi接続を完備させたくらいだ。

 コロナ禍後、これらのバスがなくなる兆候はない。ほとんどのテクノロジー企業は、1年後のオフィスの機能について考えるよりも、目先の数カ月に集中している。

 Uberのオフィス責任者を務めるMichael Huaco氏は11月のインタビューで「現実として、本当のところは誰にも分からない」と語った。

 Uberは、感染の波の高低に合わせて世界中のオフィスを閉鎖したり再開したりしてきたと同氏は言う。11月にはサンフランシスコのオフィスを再開したが、出社するのは全従業員の10%までという制限付きだ。Huaco氏は「われわれは推奨されている6フィート(約1.8m)を大幅に超えるソーシャルディスタンスを維持している」とし、オフィスに入る従業員には自宅での健康チェックと健康状態に関する質問への回答を義務付けた。「誰もが、これが深刻なことだと理解している」(Huaco氏)

 同氏は、最終的にはUberの2万2000人の従業員がハイブリッドな働き方をするようになる可能性があると語った。つまり、オフィスを従業員が働くためだけに来る場ではなく、顔を合わせるために来るコラボレーションのためのスペースとして設計することになる。そうなると、個人用デスクも減らすことになるだろう。同氏は「コロナ禍以前から、トレンドは変わりつつあった」と語った。

 GoogleのCEO、Sundar Pichai氏が12月初旬に従業員に送ったメールによると、同社も同じアプローチを検討しているようだ。Googleは詳細を明かしていないが、これは 従業員をオフィスに留めるために同社が開拓してきた豪華な福利厚生からの大きな転換だ。

 Dellも同じアプローチを採った。同社の社内調査によると、従業員の60%はリモートワークを望んでいるという。それでも同社は、オフィスにはチームが集まる場所としての、また、ラボで働く場所としての存在理由があると考えている。

 約13万4000人の従業員を擁するコンピュータ大手であるDellで総務部長を務めるJennifer Davis氏は「Dellは、創りたい文化に戻りつつある。人々が集まり、協調し、革新することを可能にするキャンパスには、今でも価値がある」と語った。

恒久的な動き

 一方、一部の従業員は都心から離脱し始めている。リモートワークが今後数年続くと見込んだのだ。

リモートワークする人
テクノロジー企業は徐々にオフィスと家の両方で働く「ハイブリッド」な働き方を受け入れつつある。
提供:Getty Images

 FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏は4万8000人以上の従業員に対し、全米に働くための拠点を開設するので、アトランタ、ダラス、デンバーなどの都市周辺の郊外に住んでいても、同僚と集まれるようになると伝えた。

 Zuckerberg氏は5月にFacebook上でオンライン開催した全社タウンホールミーティングで、「単純に全従業員に向けてオフィスのドアを開くのではなく、慎重に系統立てて新たな状況に取り組むことは、われわれの企業文化の本当に重要な価値を強化するのに役立つ」と語った。

 Zuckerberg氏は、向こう5〜10年中に、Facebookの従業員の約半数がリモートワークになる可能性があると語った。だが、シリコンバレーの他の企業はこれには追随しない。

 これらの企業は、単にアイデアを端から試そうとしているわけではない。多くの企業が、年に数回社内で実施する「パルス」調査(訳注:ここでは、従業員の満足度を測るための意識調査のこと)の結果を重視する。こうした調査の結果は、従業員が企業の経営についてどう感じているか、少なくとも何を望んでいるかを把握するための手掛かりになる。

 こうした調査によると、在宅ワークを望む人もいれば、週に数回出勤するハイブリッド方式を求める人もいる。チームや企業文化とまた寄り添いたいと感じている人もいる。

 不動産サービス企業CBREの調査分析ディレクター、Lexi Russell氏は「これはFOMO、Fear Of Missing Office(本来はFear Of Missing Outでチャンスを逃すことへの恐怖という意味だが、それをもじってオフィスを失う恐怖としている)から来ている」と述べた。この感覚を持つ人は業界を超えて存在するが、技術者にとっては特に、無料のカフェテリアや卓球台などの職場文化は、その会社を選んだ理由の1つであり「本当に大きな魅力なのだ」と同氏は語った。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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