シャープ、マスクの累計出荷が1億枚を突破--戴会長が語る「社会への貢献」

 シャープ 代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏は11月11月、「2020年度業績目標の達成に向け、共に全力を尽くそう」と題した社員向けメッセージを、社内イントラネットを通じて発信した。

シャープ 代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏
シャープ 代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏

 メッセージの冒頭で、戴会長兼CEOは、11月6日に、2020年度第2四半期の決算を発表したことに触れ、「前回(2020年8月に行った第1四半期決算発表)と同様に、堺本社から、LINC Bizのウェビナー機能を活用したオンライン中継を行い、第2四半期決算説明会を開催した。新型コロナウイルスの影響が依然として残るが、第2四半期も着実に業績回復を遂げ、2020年5月の決算発表で宣言した通り、上期は、前年度下期の業績を上回ることができた。社員の努力に感謝する」と述べた。

 また、「業績については、『白物家電やテレビ等が好調で、ブランド企業として着々と歩みを進めていると感じた』、『在庫が大幅に削減され、フリーキャッシュフローも黒字化するなど、業績を上げていくなかで、財務改善が進んでおり、ポジティブな印象だ』など、前向きな評価をもらっている」とした。

 一方で、「今回は、通期業績見通しの変更は行わなかった。新型コロナウイルスの影響が不透明な足元の事業環境を踏まえると、2020年度の着地に向けて、決して気を緩めることはできない。常に事業環境の変化に細心の注意を払うとともに、自らの経営状況を数字で分析、把握することが重要になる。先日の勉強会では『京セラ、稲盛和夫氏の会計の4つのステップ』を学んだが、そこで触れられていた、(1)経営数字は、実際の経営状況を正確に反映させること、(2)数字に敏感であること、(3)数字を徹底的に追求すること、(4)アメーバ経営の管理手法を展開すること(=BU単位の管理)、を実践し、適切かつタイムリーな対策を講じ、業績目標の達成に取り組んでもらいたい」と求めた。

シャープNECディスプレイソリューションズとして新たなスタート

 続いて、10月20日から4日間に渡って、オンラインで開催された「CEATEC 2020 ONLINE」に言及した。

 「初めてのオンライン開催となったCEATEC 2020 ONLINEでシャープは、ニューノーマルに向けた健康や医療、働き方など、足元の社会課題を解決する11種類のソリューション提案を行い、大きな注目を集めた。2019年のCEATECでは、ショーウィンドウなどに活用できる『シースルーディスプレイ』が大きな反響を得たが、2020年は、このスペックを全面的に見直した『透明ディスプレイパーティション』を提案した。主催者からは、『ニューノーマル時代に向けた画期的な提案であり、既存の液晶技術を時代のニーズに上手く適合させた』と高く評価され、CEATEC AWARD 2020 ニューノーマルソリューションズ部門グランプリを受賞することができた」と報告した。

 「このほかにも、10月と11月の2カ月間で、さまざまな賞を受賞した」とし、10月1日に、7つの商品やソリューションが「2020年度グッドデザイン賞」を受賞したこと、そのうち、「8Kインタラクティブミュージアム」と「ヘルスケアサービス“Bitescan”」が、グッドデザインベスト100に選出されたこと、11月5日には、MCPC award 2020において、感染症病床にいる患者の顔色や体調をビデオ通話で確認する栃木県日光市民病院での「遠隔応対ソリューション」の実証実験が、「審査委員長特別賞」と「モバイルパブリック賞」を受賞したこと、11月6日には、同社のMFP(複合機)が、米Cannata Awardにおいて、最高位の「Best Manufacturer賞」を受賞し、さらに、SIICA(シャープ・イメージング・アンド・インフォメーション・カンパニー・オブ・アメリカ)のMike Marusic社長が、最も優れたリーダーに贈られる「Best Male Executive賞」を受賞したと続けた。

 こうした受賞の喜びを示しながら、「シャープは、現在、B2B分野でのソリューション提案の強化に取り組んでおり、その成果が着実に表れてきている。引き続き、全社一丸となって、『ソリューションカンパニーへの転換』を加速しよう」と呼びかけた。

 今後、実施する「ICTグループ」の再編についても説明した。戴会長兼CEOは、「ICTグループでは、働き方改革や教育、コミュニケーション、エンターテインメントなどの分野を中心に、新たなソリューションの創出に取り組んでいる。このためには、高度なIT技術を持つDynabook(DBI)と、AIoTクラウドのさらなる連携強化が不可欠との考えから、年内を目処に、AIoTクラウドをDBIの子会社とし、両社がより緊密な連携を取れる体制を構築していくことを10月末に決定した。すでに11月から、両社一体となった事業運営を開始しており、両社のリソースを効果的に融合させた新たな成長シナリオの構築を進めている。DBIとAIoTクラウドの社員には、1日も早く具体的成果につなげ、さらなる事業拡大を実現してくれることを期待している」と述べた。

 また、シャープNECディスプレイソリューションズ(SNDS)についても言及した。

 シャープは3月25日に、B2Bディスプレイ事業を展開するNECディスプレイソリューションズの66%の株式を取得し、子会社化することを発表していたが、11月1日付で株式譲渡手続きが完了し、シャープNECディスプレイソリューションズに社名を改め、新たなスタートを切った。

 戴会長兼CEOは、「新しい仲間を迎えるにあたり、心から歓迎の意を表する」とし、「シャープは、2018年10月に、DBIをグループに迎え、“One SHARP”で、経営効率の改善や事業拡大に取り組んだ結果、同年度下期には、早速、黒字化を成し遂げ、その後も着実に業績を伸ばすなど、大きな成果をあげている。今回、ディスプレイ分野で、ともに強みを持つSNDSとシャープが連携することによって、両社の開発リソースの融合による新規事業の創出や、共同調達によるコストダウンなど、大きなシナジーが期待できる。また、販売面では、欧米を中心に大手企業を顧客に持つSNDSと、日本の市場に強みを持つシャープが、お互いに補完し合うことで、ディスプレイソリューション事業のグローバル展開を加速していくことができる。両社の成長のキーワードは“One SHARP”である。ともに力を合わせてがんばろう」とした。

フェイスシールドも商品化「社会への貢献は、シャープの使命のひとつ」

 最後に触れたテーマが、「社会への貢献」である。「コロナ禍における社会貢献を目的に、3月24日から、マスクの生産を新たに開始し、7カ月以上が経過した。この間、多くのお客様に好評を得て、11月6日には、マスクの累計出荷が1億枚を突破し、三重工場で記念セレモニーを実施した。現在、日本国内ではマスク不足による混乱は解消されているが、11月以降、感染者数が、再び増加傾向にある。また、欧州各地においては、ロックダウンが再度実施されるなど、緊張感が高まりつつあり、マスクをはじめとした健康関連商品の需要は、今後も世界的に継続すると見込まれる。引き続き、しっかりと社会の期待に応えていきたい」とした。

出荷トラックお見送り
出荷トラックお見送り

 「こうした取り組みの一環として、11月9日に、液晶パネル開発で培ったフィルム表面の特殊加工技術や、モスアイ技術を活用し、光の映り込みや呼気による曇りを防止し、クリアな視界を確保できる、4種類6モデルの『高性能フェイスシールド』を発表した。発表会の出席者からは、『これはすごい。光を反射しにくく曇りにくいので、何もつけていないくらい視界がクリアだ』、『つけ心地が良く、デザイン性も高い』といった高い評価をもらい、午前11時に開催した発表会終了後、すぐに複数局のテレビニュースで紹介された。同日に販売を開始した樹脂フレーム フェイスシールドの初期ロットは、午後2時過ぎには完売するなど、大きな反響があった」と語った。

接客業でもフェイスシールドの利用を想定している
接客業でもフェイスシールドの利用を想定している

 さらに、「こうした社会への貢献は、シャープの使命のひとつである。今後も、さまざまな新商品や、ソリューションの創出を通じて、社会の安心、安全の確保に取り組んでいきたい。だが、このような取り組みを進めていくうえでも、まずはしっかりと業績を上げていくことが重要である。事業環境は、引き続き難しい局面にあるが、社員全員の力を結集し、通期業績目標必達に向け、全力で取り組もう」と呼びかけた。

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