出社者と混在する「まだらテレワーク」、テレワーカーの心理的ストレスに注意

 パーソル総合研究所は6月10日、テレワークの浸透に伴う不安感や、孤独感の実態、解消法を探ることを目的として実施した「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」の結果を公表した。調査期間は3月9~15日で、正社員として働く全国の20~59歳の男女を対象に、インターネットを通じて実施。テレワーカー1000人、同僚にテレワークをしている人がる出社者1000人、テレワーカーをマネジメントしている上司700人が回答している。

 テレワーカー本人が抱いている不安については、「相手の気持ちが察しにくい」が39.5%、「仕事をさぼっていると思われないか」が38.4%で上位となっている。なお、テレワーカーの不安に関する設問として12項目を用意したが、いずれの項目についても30~40%程度の人が不安を抱えていると回答。また、12項目のうち1つでも不安を持っている人の割合は64.3%となっている。

テレワーカーの不安
テレワーカーの不安

 テレワーカーをマネジメントしている上司の不安については、「業務の進捗が分かりにくい」が46.3%、「相手の気持ちが察しにくい」が44.9%で上位に。上司の不安に関する設問として9項目を用意したが、いずれの項目についても30%後半から40%後半の人が、不安を抱えていたと回答。9項目うち1つでも不安を持っている上司の割合は75.3%となっている。

テレワーカーのマネジメントに関する上司の不安
テレワーカーのマネジメントに関する上司の不安

 テレワーカーに対して出社者が抱いている疑念・不満については、「さぼっていると思うことがある」で34.7%、「相談しにくい」32.3%が上位。テレワーカーに対して1つでも疑念・不満を持っている出社者の割合は58.1%としている。

出社者の疑念・不満
出社者の疑念・不満

 テレワーカーと出社者についての気持ちを比較すると、テレワーカーが不安に思っているほどには、出社者はテレワーカーに対して疑念・不満を抱いていないとしているが、出社者も20~30%程度の人が疑念・不満を持っているため、注意は必要と指摘する。また、テレワーカーで「孤立していると思う」と回答した人は28.8%。テレワークの頻度が高いほど、孤独感は高くなるとしている。

テレワーカーと出社者の気持ち
テレワーカーと出社者の気持ち
テレワーカーの孤独感
テレワーカーの孤独感

 職場のテレワーカー比率と心理的ストレスについて、職場におけるテレワーカーの比率が2~3割のときに、テレワーカーの不安感や孤独感がピークに。職場においてテレワーカーと出社者が混在している「まだらテレワーク」がもたらす、テレワーカーへの心理的ストレスには注意が必要と指摘。また、職場におけるテレワーカーの比率が高くなるとともに、テレワーカーに対する出社者の疑念・不満も高くなっていくという。

テレワークの頻度と孤独感
テレワークの頻度と孤独感
職場のテレワーカー比率と出社者の疑念・不満感
職場のテレワーカー比率と出社者の疑念・不満感

 テレワークで評価面の不安を持っている人は転職意向が強くなっているという。上司からの公平・公正な評価に対する不安が当てはまる人は、当てはまらない人に比べて転職意向が1.8倍。仕事をさぼっていると思われないかという不安が当てはまる人は、当てはまらない人に比べて転職意向が1.7倍となっている。

テレワーカーの不安と転職意向
テレワーカーの不安と転職意向

 上司とのコミュニケーションについて、リアルな場で顔を合わせる対面の場合と、リアルな場で顔を合わせない非対面の場合を比べると、非対面の方が「報告」「連絡」「相談」「雑談」のすべてが行われない傾向にあるという。また、非対面のなかでも、テレワークでよく使われる「ウェブ会議、テレビ会議」では、それらがさらに行われていないと指摘。一方、観察力が高い上司は、テレワーカーと信頼関係を築いているという。上司と部下の信頼関係は、テレワーカーの評価面の不安や孤独感を抑制。さらに、出社者のテレワーカーに対する疑念・不満感の抑制も確認されたとしている。

コミュニケーションの手段と内容の関係性
コミュニケーションの手段と内容の関係性
上司の観察力による効果
上司の観察力による効果

 パーソル総合研究所側では、テレワーカーと出社者が混在するまだらテレワークの職場において、テレワーカーが少数派になることで周囲の目が気になって心理的なプレッシャーや不安感が増すこと、テレワーカーの比率が2~3割程度の職場が最も不安感が高いことに注意を促している。

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