目の不自由な人は、白杖(はくじょう)で障害物などの存在を確認し、それを頼りに歩く。しかし、そうして認識できる周囲の状況は限定的で、情報不足で困ることも多い。そこで、周囲の情報を伝えるサングラス「Bose Frames」や複合現実(MR)ヘッドセット「HoloLens」、リストバンド「Sunu Band」、スーツケース「BBeep」などのシステムが開発されている。
これに対しAppleは、こうしたシステムに応用できる技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間5月26日に「GUIDANCE DEVICE FOR THE SENSORY IMPAIRED」(特許番号「US 10,664,058 B2」)として登録された。出願日は2019年2月27日、公開日は2019年6月27日(公開特許番号「US 2019/0196594 A1」)。
この特許は、視覚障害者や聴覚障害者へ周囲の状況を伝えるデバイスに必要な技術を説明したもの。そのデバイスの向けられた方向を取得できるセンサーと、周辺にある物の存在を確認できるセンサーが搭載されており、両センサーで得たデータを解析して周囲の状況を認識し、何らかの方法で利用者に伝える。たとえば、近くを歩く人や走る車の存在、交通信号機の位置などが把握できるという。
情報の伝達方法は、デバイスに搭載されたディスプレイに表示するほか、音声や振動などが利用可能だ。デバイスの種類としては、手に持って使うスティック状のものでも、スマートウォッチやスマートフォン、背中の部分に出力デバイスを組み込んだスマート衣服などが使える。
さらに、この特許のデバイスが別のデバイスと通信し、周囲の情報を送信して利用者に伝える、という動作も考えられる。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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