2019年9月、筆者は台湾の企業XRSPACEによる仮想現実(VR)ヘッドセットのプロトタイプを試した。家電見本市IFAが開催されていたベルリンのにぎやかな会場で、ストラップ式の巨大なオレンジ色のゴーグルを装着すると、その場を実際に離れることなく別世界に没入することができた。
XRSPACEは、HTCの共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のPeter Chou氏が立ち上げた新興企業だ。ここ3年にわたりVRヘッドセットと仮想世界の開発に取り組んできた。この仮想世界は、映画「レディ・プレイヤー1」のような世界、つまり人々が互いにデジタルでやり取りし合い、コミュニケーションを取り合う場所を目指している。XRSPACEは現地時間5月26日、ついに社外秘対応を解き、仮想世界の「MANOVA」と5G対応のVRヘッドセット「MOVA」を発表した。Wi-Fi版MOVAの価格は599ドル(約6万4000円)からとなっている。
XRSPACEは、多くの企業が挑んでは失敗してきた目標に取り組んでいる。VRを真にソーシャルで、テクノロジーに詳しいゲーマーだけでなく一般の人々にも利用しやすいものにすることだ。VRは通常、現実を遮断して、ユーザーをデジタルの世界に送り込むことで機能するが、MOVAを利用すると、友人や同僚も一緒にその世界を体験できる。
仮想世界で相互のやり取りを可能にするというアイデアは、各国が新型コロナウイルスの感染拡大と闘う中で、孤立している多くの人にとって魅力的なものとなりそうだ。MOVAヘッドセットは、2020年第3四半期に発売されるとみられる。台湾の通信事業者である中華電信(チュンファテレコム)、ドイツのDeutsche Telekomと連携する。その後は、欧州、米国、中国などから展開される予定だ。Chou氏は、今後さらに多くのキャリアがサポートを予定していると述べた。
Chou氏は、発表前の米CNETとのビデオインタビューで、「私がこれまで生み出した中で最も素晴らしい製品となった」とし、「これは、マスマーケットのコンシューマー向けの真の次世代VRだ」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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