英国政府は新型コロナウイルス感染症対策のロックダウンの緩和に向けてオフィス再開を徐々に始めているが、公式ガイドラインはいまだ「可能であれば在宅勤務を」と強く推奨している。このガイドラインは同国の労働者に受け入れられそうだ。英国の労働者の実に76%がフルタイムでのオフィス勤務に戻りたくないという調査結果が出ている。
この新たな調査は、ID管理企業のOktaが欧州の6000人のオフィスワーカーを対象に行ったものだ。英国の回答者のうち、週5日ベースでのオフィス勤務に戻りたいと答えたのは、4人に1人にすぎなかった。
だが、完全なリモートワークを望んだのもわずか(17%)だった。理想的なシナリオは、パートタイムベースで在宅勤務が可能な、柔軟なモデルだ。
OktaでEMEA担当ジェネラルマネージャーを務めるJesper Frederiksen氏は米ZDNetに対し、2019年から「ダイナミックワーク」という取り組みを試行していると語った。この取り組みは、リモートとオフィスのハイブリッドコンセプトだ。Oktaのロンドンオフィスでは、パンデミック発生以前から、従業員は基本的に在宅勤務しており、オフィスに来たいときはアプリで席を予約する。実際、同社のオフィスには、スタッフの約3分の2が座れる席しかない。
「当初はオフィスに執着する人が多かったが、ひとたびやってみると、非常にうまくいくことに皆が気づいた。ダイナミックワークが良いアイデアであることの検証になった。従業員は、自分に合った選択肢を柔軟に選びたいのだ」(Frederiksen氏)
通勤時間がなく、オフィス特有の気を散らす要素が少なく、場合によっては職場から遠く離れ、混雑の少ない地域にいることは、多くの従業員にとって明らかに魅力的だ。
在宅勤務は実際に、一部の労働者にとって有効だ。Oktaの調査によると、新しい環境がうまくいっていると答えた人の半数以上が、自由時間が増えたおかげで生産性が高まったと答えたという。自宅は気の散る要素が職場より少なく、仕事により集中できると答えた人もいた。
在宅勤務は時には、上司の目が届かず、緊張感が不足すると見られるが、こうした見方は急速に過去のものとなりつつある。従業員に在宅勤務させざるを得なくなった雇用主は、在宅勤務は(少なくともスタッフの視点では)生産性低下の言い訳にはならないという事実を認めるようになった。英国労働者の3分の1以上が、従業員は自宅だと十分に働かないという認識は改善されたと答えた。
改善されたのは認識だけではない。アドバイザリー企業のValoirによる最近の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響による在宅勤務では、生産性への負の影響はほとんどないという。過去2カ月間で、労働生産性は平均して1%しか減少していない。だが、子どもがいる家庭では2%に増え、単身世帯では3%に増える。
従業員が急な在宅勤務体制にいかにうまく適応できるかは、状況に大きく左右される。例えばOktaの調査では、スペースを誰かと共有したり、子どもの面倒を見ながらでは、十分には仕事ができないと答えた人が一部いた。ロンドンのような大都会では、狭いアパートや屋外スペースの不足で、在宅勤務は狭苦しく、生産性を低下させる。
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