折りたたみ式スマートフォン「Galaxy Z Flip」が2月に発売されたとき、筆者は懐疑的だった。約1年前、「Galaxy Fold」が登場したときは、レビュー機でいろいろと問題が出ていたからだ。その後、Motorolaの「Razr」がひとあし早く発表された。Galaxy Z Flipよりも価格が高くスペックもぱっとしなかったが、それでも折りたたみ設計に対するアプローチは魅力的だと筆者は感じた。
それが今では、Galaxy Z Flipをすっかり気に入ってしまった。普通のスマートフォンと同じように使っている。というと変な言い方だが、折りたたみ式スマートフォンに対してこれまで筆者が最も否定的に感じていたことの1つは、実際に使ったときの耐久性に難があるということだった。そのため、最初のうちは壊れ物のように扱っていた。今はそれほど気を遣わなくなったが、耐久性に問題は起きていない。
何といっても、Galaxy Z Flipは使っていて楽しい。これは、筆者がめったに口にしない評価だ。閉じたり開いたりするのは、今でも初めてのときと変わらず楽しい。端末を閉じて電話を切るというのも、「iPhone 11 Pro」や「Pixel 4」では味わえない満足感があるし、くいっと手首をひねって開くのは、なかなかカッコいい感じがする。
もちろん、Galaxy Z Flipは完璧ではなく、性能も最上とは言えない。カメラもバッテリー持続時間も、最高クラスには届かない。しかも、呆れるほど高価だ。それでも、使わずにはいられない。3カ月たった今、1380ドル(日本では税込17万9360円)の価値があるかと問われれば、答えはイエスだ。その高い値段は、物理的に半分に折りたためるスマートフォンの証でもある。では、その金額のスマートフォンを人に勧めるかというと、答えはノーだ。ただし、最先端デザインのスマートフォンをいじってみたい方であれば、Galaxy Z Flipはいろいろと楽しめるだろう。
Galaxy Z Flipのディスプレイについては、愛憎なかばというところだ。きれいな状態なら、縦長の画面は文句なく美しく、動画の再生は特にすばらしい。アスペクト比は21.9:9とかなりの横長な状態なので、ほとんどの動画は両脇に黒い帯が入る。一方、「続・夕陽のガンマン」のようなワイドススクリーンの映画は、このディスプレイにぴったりはまった。
しかし、プラスチックポリマーのコーティングが、この美しい画面を台無しにすることがある。特に気になるのは、画面に指紋が付いているときで、コーティングの性質なのか、いつまでも指紋が残る。シャツの袖で拭ってみるのだが、プラスチックポリマーコーティングのないスマートフォンと違って、汚れはなかなか取れないのだ。
そして問題は、そう、折り目だ。3カ月使ってきて気づいたのは、常に指で物理的な折り目を感じるということだ。Galaxy Z Flipでは折り目が画面の真ん中を横断する形で入っているので、InstagramやTwitterなどのアプリでスクロールするとき、指が折り目を乗り越える。まるでコンクリート製の私道で、車が継ぎ目を乗り越えるような感触だ。だが、それも筆者はそれほど気にならない。Galaxy Foldのように縦の折り目ではなく横の折り目なので、実際にはそこまで目立たないからだ。筆者にとっては、レストランでかかっているBGMのように感じられる。気づきはするものの、しばらくすると忘れている。ほかのスマートフォンのノッチに慣れたように、もう折り目にも慣れてしまった。
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