全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で、モバイル業界も大きな影響を受けている。春から夏の書き入れ時に向けて、加速し始めた矢先のことだった。米CNETのスマートフォンレビュー担当という筆者の立場からすると、記事の量が減るのは厳しいところだが、このCOVID-19の深刻さと、既に多くの命が犠牲になっている現状を考えると、それもやむを得ないところだ。だが、スマートフォン業界が次のステップに向けた対策を急いでいる今、各社にできることが1つある。この機会を利用し、製品ラインアップやデザイン、キャンペーンについて、重要な機能群に再び焦点を合わせるということだ。
2020年は、5G対応デバイスが主流となり、折りたたみ式スマートフォンがようやく存在意義を証明する年になるはずだった。写真や8K動画撮影の画期的な機能を採用するハイエンド端末の年になると思われていた。しかし、COVID-19の余波で、Mobile World Congress(MWC)やGoogle I/Oといった大規模イベントは軒並み中止となり、Appleの年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」もオンライン開催が決まった。
スマートフォンのリリースは、完全に止まったわけではない。今もなお、新製品発表やレビュー機を小出しにしているメーカーもある。例えば、OPPOと華為技術(ファーウェイ)は記者会見の場をオンラインに移して、新しいフラッグシップ機としてそれぞれ「Find X2」と「HUAWEI P40」シリーズを発表した。
目端の利くメーカーは、COVID-19の影響が少ない国で、あるいは外出もままならず買い物でストレスを発散しようとする消費者に向けて、可能な限りの販売を続けようとしている。
だが、そんな停滞の時期だからこそ、スマートフォンメーカーにとっては、むやみに容量を消費するソフトウェアを一掃したり、新製品を毎年数回発表するのが当たり前になっている古い慣習を考え直したりするチャンスだ。
例えば、「Galaxy S20」シリーズを見てみよう。「Galaxy S20 Ultra」と「Galaxy S20+」、そして標準のGalaxy S20では、全機種で5Gなどの上位機能、軽快に動作する「Snapdragon 865」チップセット、120Hzのスクリーンリフレッシュレート、新しいカメラ機能などが搭載されている。だが、同シリーズは非常に高価で、エントリーレベルのGalaxy S20でも小売価格は999.99ドル(約11万円)となる。結局のところ、「Galaxy Note10」から、あるいは「Galaxy S10」シリーズからでも、アップグレードするほどではないようにも思える。
もしかしたら、好むと好まざるとにかかわらず、目まぐるしいサイクルで次々と新製品を送り出すのを、一旦やめた方がいいのかもしれない。
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