この特集「アフリカの“奇跡”--急成長するIT国家『ルワンダ』の今」では、フツ族とツチ族の民族対立をきっかけに、80万人が虐殺された1994年のジェノサイド事件から26年が経ち、「アフリカの奇跡」と呼ばれるまでに急成長を遂げているルワンダを、さまざまな角度から現地取材するこで同国の“今”をお伝えする。
私は、神戸市が日本の若者向けに実施しているルワンダ起業体験プログラム「KOBE STARTUP AFRICA in Rwanda」に同行する形で、2週間ほどルワンダに滞在することになった。こんなチャンスは滅多にない。アフリカ製のスマホを購入し、現地のSIMカードを入れて、ルワンダで利用されているネットサービスを使ってみることにした。
前編では、スマホを購入してSIMカードを手に入れるまでの模様をお届けする。そこでは、現地ならではのアクシデントにも見舞われたのだった…。
まずは、ルワンダの店頭で売られているスマホを買うことにした。アフリカでは中国の携帯電話メーカーである伝音科技(Transsion)のスマートフォン「Tecno(テクノ)」が圧倒的に人気だが、ルワンダにはアフリカ初の国産スマホである「MaraPhone(マラフォン)」が、2019年10月から売られていると聞いていたので、早速メーカー公式ショップへと向かった。
ちなみに、MaraPhoneを製造しているのは、アラブ首長国連邦のドバイに本社を置くMara Corporationだ。アフリカを含む20カ国以上で、テクノロジーや金融、製造、不動産、農業などの事業を展開しており、従業員数は1万人を超える。同社はアフリカ初のハイテクスマホ工場をルワンダに設立し、現在は南アフリカにも製造拠点を設けている。
訪れたのは、ルワンダの首都キガリの中心にあるショッピングモール・Kigali City Mall内にあるMaraPhoneの店舗。店内には、背面のライオンのロゴが印象的なスマートフォン「Mara X」(130ドル:約1万4000円)と、「Mara Z」(190ドル:約2万円)の2機種が展示・販売されていた。ちなみに、前述したTecnoであれば50ドルくらいからスマホを買うことも可能なので、MaraPhoneはかなり高級路線のメーカーと言える。
Mara Xの端末スペックは、OSがAndroid 8.1。ディスプレイは5.5インチのIPS HD+(1440×720px)で、iPhoneにも採用されているゴリラガラスを使用。カメラは1300万画素のメインカメラと500万画素のインカメラ、SoCはMediatek MT6739(Cortex A53 1.5GHzクアッドコア)、RAMは1GB、ストレージは16GB。バッテリー容量は3500mAhで、重量は152g。なお、カメラはポートレートモードやビューティーモードなどの機能も搭載している。デュアルSIMに対応しており、2つの電話番号を使い分けられる。さらに、低価格ながら指紋認証にも対応している。
ハイエンドモデルであるMara Zの端末スペックは、OSがAndroid 9、ディスプレイが5.7インチのIPS Incell HD+(1440×720px)、カメラは1300万画素のメインカメラと1300万画素のインカメラ、SoCはQualcomm Snapdragon 435(1.4GHzオクタコア)、RAMは3GB、ストレージは32GB。バッテリー容量は3075mAhで、重量は152g。カメラ機能はMara Xと同様で、デュアルSIMのほか、指紋認証にも対応している。また、Mara Zは顔認証も可能だ。
今回の目的は2週間の滞在中の利用なので、そこまでハイエンドモデルを求めていなかったこともあり、Mara Xを買うことにした。店員に購入する旨を伝えて端末を用意してもらう。この時点ではまだ現地のSIMカードを持っていなかったので、日本での電話番号を伝え、クレジットカードで決済して購入は完了。10分もかからず購入手続きは終わった。ちなみに端末を買うと専用のTPUケースが無料でもらえる。日本だと中々ないので得した気分だ。
なお購入時は、Mara Xの端末にバッテリーが入っておらず、店員がバッテリーを入れて起動確認をしてくれる。起動時に言語を日本語に設定すれば、あとは日本で売られているAndroidスマートフォンと使い勝手はほぼ変わらない。
ただ、Mara Xは、ローエンドモデル向けのOS「Android Go」を搭載しているため、YouTubeやGoogle マップは軽量版となっている。実際にMara Xを使ってみたが、サクサクとまでは言えないものの、最低限の写真撮影やアプリを使う分には問題ない操作感だった。これなら滞在中に十分に活躍してくれそうだ。なお、端末レビューについても別途お届けする予定だ。
小ネタだが、ルワンダにはGoogleのスマートフォンは「Pixel 2」までしか販売されていないそうで、たまたま私が持っていた「Pixel 4」に男性店員は大興奮。手渡すと色々と操作を楽しんでいた。デジモノ好きは世界共通であると実感した瞬間だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」