“働き方改革”のなかで注目され始めたテレワーク。新型コロナウイルスの感染拡大で関心が高まり、急いで導入をした事例なども聞こえてくる。
キングコング西野亮廣さんの絵本「えんとつ町のプペル」をはじめ、イラストや3DCGなどさまざまなクリエイティブを制作しているMUGENUPでは、2012年より積極的にテレワークを導入。厚生労働省「輝くテレワーク賞」の受賞や、総務省「テレワーク先駆者百選」に選出されている。約240人の従業員のうち、平時から約4割弱がフルタイムの在宅勤務をし、特に今は、新型コロナウイルスの感染を防ぐため全社の7~8割が在宅勤務で業務をおこなっている。また、MUGENUPには4万人を超えるクリエイターに登録をしていただいており、日本だけではなく台湾や韓国、遠くはフランスやポーランド在住の方とも、テレワークで繋がりながら業務を行っている。
「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」と近しい言葉はいろいろあり、その意味するところも重複していたり異なっていたりとさまざまだが、共通しているのは“オフィスではない場所で業務をする”という点にある。
オフィスではない場所で業務をするとなると、その場で顔を合わせて言葉を交わすことはできない。インターネットを通じ、主にチャットを用いた言葉のやりとりが中心となる。そして、テレワークのコミュニケーションには“見えない”ことと“テキスト”の2つが落とし穴と考えている。
MUGENUPの広報である筆者は、テレワークをテーマとしたメディア取材に立ち会うほか、自ら在宅勤務者に社内インタビューを行ったり、遠方在住のメンバーにむけて社内情報やtipsを発信し共有するなど、社内のテレワーク事情に数多く触れてきた。テレワークへの関心が高まるなか、MUGENUPのメンバーが日ごろ注意している点や効果的だと思っているコツについて紹介する。
在宅勤務に慣れていないと、上司が不安になりがちとなる。部下となるメンバーが悩んでいるのではないか、指示通りにやってくれてるか、サボっているんじゃないかなどなど……。なぜ不安になってしまうのかといえば、上司の目には何をやっているのかが“見えない”からだ。
オフィスにいなければ、姿が見えないのは当然のこと。もちろんオフィスに出社さえすればいいというものではないが、誰しも見えないということに、不安を感じるのは仕方がないことでもある。そしてその不安を前に、どのようなコミュニケーションが効果的を考える必要がある。
●成果物の明確化と報告
姿が見えないという不安に対して、具体的な成果物で結果を示すことが一番効果的だ。そもそも仕事とは、結果を出すことこそが目標である。
自分がするべき業務内容やタスクを上司に相談し、確認した成果物を報告することで、自分の成果を証明することができる。その日に完了しない案件や業務の場合、途中経過を報告するだけでも効果的。成果物を示していくことで信頼も積み重なり、テレワークであっても、姿が見えない状態であったとしても、上司も同僚も安心するようになる。
●自分の状況を積極的に共有する
近年のテレワークにおけるコミュニケーションは、主にチャットツールを活用するのがほとんどと言っていい。そしてメールではともかくチャットの場合、すぐにレスポンスがあることを期待してしまうが、実際にそうなるとは限らない。業務に集中していたり、ウェブ通話をしていたりなど、さまざまな事情からレスが遅れることは頻繁に起こり得ること。それは当然のことなのだが、姿が見えず返事も返ってこないとなれば、上司が心配になるのも仕方のないことだ。
そのため、googleカレンダーの共有やチャットのグループスレッドに投げかけるなどして、自分の状況やスケジュールを積極的に共有していくことを心がけよう。内容も「〇時からランチ」や「〇~〇時は資料作成」など、箇条書きで十分。自分の状況を伝えておくことで周囲は安心し、レスが遅くても納得しやすくなる。
●相手に即レスを求めない
自分の姿が周りから見えないのと同様、自分も相手の姿が見えない。たとえ、予定を共有していたとしても、予定外の緊急対応に追いかけられているかもしれない。オフィスであれば様子を見て「忙しそうだから、話しかけるのをやめよう」といった判断もできるが、テレワークではその判断もできない。
そのため、相手のレスポンスが遅れても、焦らず不安に思わないようにする。返事を要求するのはなるべく避けたほうがいいため、事前に「〇時までにお願いします」など、スケジュールを提案しておくのもひとつの手だ。
●自分自身は即レスを心がける
前述とは逆となるが、自分自身は可能な限り即レスを心がける。自分にチャットが飛んでくるということは、相談や質問、用事があるはずなので、即レスがあると周りも嬉しくなる。
実際、MUGENUPにおいて「あの人との仕事はスムーズ」という話を聞き、ヒアリングしてみたところ、大きな理由に「すぐにレスくれる」ということがあった。チャットの到着を見逃さないよう、ブラウザのタブの位置と他のアプリの配置を工夫しているメンバーもいる。
また、情報共有のような内容であっても何かしらリアクションを返しておくことで周囲は安心できる。文章でレスを返さずとも、絵文字のリアクションや「いいね!」などで十分。即レスする意識を持っておきたい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」