欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間2月19日、今後10年間とさらにその先を見据えた画期的なデジタル戦略を発表した。
この戦略には、欧州の「公正かつ競争がある」経済をさらに発展させ、欧州市民にとって役立つテクノロジーを開発し、オープンで民主的な社会を支えるための、複数の計画が記されている。その核心は、欧州で単一のデータ市場を構築し、人工知能(AI)の分野でEUの指導的地位を確立することにある。
ただし、この戦略は新たな法律や規則に直接つながるものではない。欧州が今後数年かけて法制度を整備していくためのフレームワークを形成することを目指したものだ。
将来策定される規則のもとで期待されているのは、欧州のデジタル企業が欧州域内および世界の舞台で成功できるだけの力を身につけ、新たな自立の時代を先導できるようになることだ。一方、欧州域外の企業の進出は今後も歓迎されるが、欧州の規則に従うことを求められる。
この戦略について発表した欧州委員会のUrsula von der Leyen委員長は、欧州は以前から技術分野で成功やイノベーションを起こし、強い産業を擁し、個人の権利と共通の価値観を尊重してきた実績があり、このことが今回の戦略の基礎になっていると語った。「これらの点をすべてつなぎ合わせて、1つのコンセプトにまとめたもの」が今回の戦略だと、同委員長は解説した。
欧州でFacebook、Google、Amazonなどに対抗できる巨大IT企業が生まれない理由として捉えられていることの1つが、EU圏全体でデータを共有する能力がないことだ。今回の戦略では、欧州のデータドリブンな企業が成長できるようにするための共通のデータ空間の構築も提案している。
また、AIに対する信頼の重要性も強調し、高リスクのAIシステム(例えば医療や警察など)を十分に検証し、規制を設ける方針も示した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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