2019年12月以降、2000人以上の死者を出している新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」の3Dマップが、テキサス大学オースティン校と米国立保健研究所(NIH)のコロナウイルス研究者の協力により、このたび初めて作成された。画期的な成果だと歓迎されているこのマップは、新型コロナウイルスを押さえ込むための抗ウイルス薬やワクチンを開発する足掛かりになるとみられている。
新型コロナウイルスの感染者数は2カ月足らずで7万5000人を超え、中国国内と国外の両方で大きな経済的混乱を引き起こしている。世界保健機関(WHO)はこのアウトブレイク(感染症の大流行)について、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)だと宣言している。WHOはさらに、2月11日に新型コロナウイルス感染症の名称を「COVID-19」とすると発表した際に、ワクチンの完成にはおそらくあと18カ月かかるだろうとの見方を示していた。
その一方で、科学者たちは迅速にリソースを結集しており、前代未聞の速さでこのウイルスに関する情報を共有し、実験をもとにわずか数週間で査読を経た研究論文を発表している。
構造生化学者のJason McLellan氏が率いる、テキサス大学オースティン校のチームも、こうした研究者の一例だ。この研究チームは、新型に類似したタイプのコロナウイルスを長年研究してきた実績を持つ。学術誌「Science」上で米国時間2月19日に公開された最新研究は、同大学が持つ最先端技術を駆使し、特に「スパイクタンパク質」に着目して、新型コロナウイルスの分子構造をマップ化したものだ。
研究チームは、2002~2003年のSARS流行の原因となったコロナウイルスと今回の新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に類似性があるとしながらも、今回の方がはるかに人の細胞に取り付きやすいとした。
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を対象とした3Dマップの作成は、ワクチンの設計と開発を加速する第1歩ではあるが、どれほど的確な免疫反応を引き起こすことができるかを検証する実験も進行中だと、McLellan氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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