買取再販を手掛けるすむたすが2月4日、月3件ペースだった買取件数を約10件に引き上げ、事業規模を拡大する計画を打ち出した。同日にはWiLから4億円、シリーズAラウンドで総額約5億円の資金調達を発表しており、すむたす 代表取締役の角高広氏は「今まで以上に売買ができる資金力がついた。アイバイヤーとしてさらなる成長を目指す」と方針を話した。
すむたすは、2018年1月に設立。同年10月には査定アルゴリズムにより最短1時間で買取価格を提示し、直接買取をする「すむたす買取」をスタートした。2019年3月には仲介会社向けの無料SaaS「すむたす買取エージェント」、8月にはリノベーションマンション特化型の販売サイト「すむたす直販」をリリース。設立から約2年でサービスを拡充してきた。
買取再販は「アイバイヤー」として知られ、米国の不動産テック市場で拡大しつつある注目分野。GAFAの不動産テック版と言われる「ZORC(Zillow、Opendoor、Redfin、Compass)」にも名を連ねるOpendoorが米国での主要プレーヤーだ。
すむたすは、この注目領域に取り組むスタートアップ。AIを活用するスピード買取が特徴で、従来は半年程度かかっていた不動産売却期間を最短2日にまで短縮する。「アベレージをとるとだいたい1週間程度かかるが、その期間で不動産売却が完了する。アプリ上で最低限の売却価格を提示でき、そこから価格を下げたり、家を見た結果再査定したりというコミュニケーションはとっていない」(角氏)という。サービス開始からの1年間で累計買取査定額は700億円超にのぼる。
法人向けサービスSaaSのすむたす買取エージェントは、仲介会社向けの買取査定SaaS。小規模な不動産会社向けで、顧客から買取の相談がきても、資金面などから対応できなかった会社に提供することで、買取の提案が可能になる。すでに税理士、弁護士向けのサービス「すむたす買取プロ」も開発を進めており、個人向け、企業向けの買取システムを整える。
一方、すむたす直販は仲介手数料不要でリノベーションマンションを探せる販売サイト。「直販サイトのため仲介手数料は無料で、企業側の手数料も不要。このサービス自体は収益化していないが、買う人のメリットは大きい」(角氏)と新たなマンション販売の形を示す。
今回の資金調達を経て、すむたすは、買取件数増加のほか、すむたす買取エージェント、プロへの参画社数を現在の約100社、査定件数月50件から、500件、月300件への増加、すむたす直販での掲載物件100件を500件まで増やすことを目標に掲げる。
「アイバイヤーとして成長する。これが実現できれば、買取再販カテゴリーで、日本国内で20番目の企業になる。私たちが取り組んでいるのは不動産売買をカジュアルにしているということ」(角氏)とコメントした。
出資したWiLの難波氏は「私たちWiLは、日本と米国を中心に約90社の投資先を持つ。日本ではメルカリやラクスルに投資経験があり、成長企業に投資するのが私たちの仕事。すむたすは、日本において数少ないアイバイヤーを手掛ける不動産テック企業。この市場は大きく、アイバイヤー領域も成長しているが、日本だとすむたすくらいしか該当企業がない。このタイミングで投資できるのはいい時期だと思っている」と出資経緯を明かした。
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