1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジー総合見本市「CES 2020」の公式メディアイベント「CES 2020 Unveiled Las Vegas」。スタートアップ企業を中心に数多くのメーカーが最新の製品やテクノロジー、サービスを展示している中で、フードテック関連で注目を集めていた製品の一つが米Matrix Industriesの「JUNO」だ。製品や今後のビジネス展開などについて、共同創業者でCTOのDouglas Tham氏に話を聞いた。
JUNOはビンや缶に入った飲料を入れてボタンを押すと1分以内に急速冷却する、コンパクトな「ドリンク専用冷蔵庫」だ。お酒が好きでビールなどをすぐに冷やして飲みたいという人には最高の製品だろう。現在はクラウドファンディングサービスのIndiegogoで支援を募集しており、2020年第3四半期には日本を含めてさまざまな国や地域に発送する予定となっている。
スマートフォンとの連携機能などもなく、ボタンを押すと冷やすというだけのシンプルなものなのだが、ZDNetの「Best of CES 2020: Cool tech you can buy this year」やBusiness Insiderの「The 16 best new products we saw at CES 2020」、Digital Trendsの「Top Tech of CES 2020」などにも選出されており、注目度の高さが伺える。
JUNOはどのような技術を用い、どのような可能性を秘めているのだろうか。
Matrix Industriesは2018年に市販をスタートしたスマートウォッチの「MATRIX PowerWatch」と共通の熱電テクノロジー(電気エネルギーと熱エネルギーの可逆変換技術)を用いている。
「MATRIX PowerWatchは人体の熱を電気に変えて時計を動かすが、これは熱電素子を用いており、この素子に電気を与えると冷却できる。昔からあるペルチェ効果だが、この素子はそれを非常に高効率化したものだ」(Douglas Tham氏)
ペルチェ方式は小型のワインクーラーなどにも用いられているが、「一般的なペルチェ素子は冷却速度がとても遅く、JUNOのような急速冷却はできない」という。
「PowerWatchを作った時にとても苦労したのが、熱をどのようにに逃がすかということだった。同じようにペルチェ効果を使っていても、液体の内部の熱を外へと効率的に逃がし、外から冷やすというサーモエンジニアリングのノウハウがほかの企業にはない。そこがわれわれの強みだ」(Douglas Tham氏)
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