英政府は現地時間1月28日、同国の5Gネットワークの非中核部分の構築に、中国ハイテク大手の華為技術(ファーウェイ)の製品を使用することを容認した。ただし、いくつかの厳しい制約が課される。ファーウェイ機器は、機密情報を扱う場所からは排除され、また、英国における市場シェアは35%までに制限される。
英国は、軍事基地と核施設、およびCritical National Infrastructure(最重要国家基盤)における安全関連および安全重視のネットワークでのファーウェイ機器の使用は許可しないとした。英国の5Gネットワークの中核部分の構築にも、同社製品の使用は許可されない。同社製品の使用は、機器や装置を携帯電話基地局に接続する、周辺アクセスネットワークに限定される。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省のNicky Morgan大臣は発表の中で、「できるだけ早期に世界クラスの接続性を実現したいが、そのために国の安全を犠牲にしてはならない。リスクの高いベンダーはこれまでも今後も、われわれの最も機密なネットワークから排除される。政府は、通信ネットワークのサプライチェーンを調査し、本日、リスクの高いベンダーの製品に対する厳しい制約を設けることが必要だという結論に至った」と述べた。
ファーウェイはこの決定を称賛し、同社は英国の通信事業者に15年以上前から製品を供給してきたと述べた。
「ファーウェイは、5G展開を計画どおりに進めるために当社顧客との連携を続行してよいという英政府の承認を得て、胸をなでおろしている」と、ファーウェイのバイスプレジデントを務めるVictor Zhang氏は声明で述べ、「多様なベンダーで構成される市場と公正な競争が、ネットワークの信頼性と革新に不可欠だという見解に同意する」とした。
米国での反応は芳しくない。米上院情報問題特別調査委員会に所属するTom Cotton上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は、ファーウェイをKGB(ソ連国家保安委員会)になぞらえ、米国は英国との機密情報共有を見直すべきだとした。
Allowing Huawei to the build the UK’s 5G networks today is like allowing the KGB to build its telephone network during the Cold War. The CCP will now have a foothold to conduct pervasive espionage on British society and has increased economic and political leverage over the UK.
— Tom Cotton (@SenTomCotton) January 28, 2020
ファーウェイの将来を左右する英国の決断は、選挙や欧州連合(EU)離脱の議論によって長引き、1年以上遅れてようやく下された。その間に、2人の首相(Theresa May前首相とBoris Johnson現首相)が、この問題に関する決断を先送りにしていた。
ファーウェイを英国から排除するか否かという、長期にわたって続いた議論の中心にあったのは、英国の国家インフラの制御が中国に奪われるのではないかいう懸念だ。英国のネットワークは長くファーウェイ製品に頼ってきたが、ここ数年は米国から、セキュリティの懸念を理由にこれを見直すよう強い圧力を受けてきた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス