「当社が開発したMojo Lensは、黄斑変性症や緑内障など、あるいは視野狭窄の一種である網膜色素変性症、夜盲などの低視力になった方を支援できる。また、そういった方々を支援するだけではなく、視力が普通である人にも、通常なら見えないものが見えるという、いわば超常的な力をもたらすことができる」と、Sinclair氏は語った。
それは、暗闇でものを見るというデモを行う部屋に入るように言われたときの言葉だった。
このデモは、スイートに隣接するベッドルームで行われた。室内は、ベッドや椅子など至るところに道路標識が置かれており、先ほどとは違うプロトタイプのコンタクトレンズを渡された。こちらは、まだコンタクトレンズ単体で動作するタイプではなく、その形になるのは2020年のいずれかの時期になるという。
現段階の初期バージョンは、スマートフォンサイズの処理ユニットに搭載されており、それを手に持って、小さい棒の先に取り付けられたレンズ越しにのぞき込む。照明が消され、あたりは真っ暗になった。だが、それでも周囲のものが見えている。道路標識や、デモを実演している担当者の顔が、緑色に浮かび上がって見える。棒の先に付いた魔法のコンタクトレンズで、暗闇でも目が見えているのだ。
Mojo Visionのチームは、創業した2017年からの歴代のプロトタイプが入れられた長いボックスと、コンタクトレンズ設計の次の目標を示した今後のモックアップを見せてくれた。筆者が今回手に取ったレンズは、ほぼ透明だったが、今後の設計では大幅に技術が追加される。瞳孔の周囲は部品(バッテリー、プロセッサー素子など)で埋まり、今後はそのハードウェアの一部が色のついた模造の虹彩で覆われる。エッジ検出、小型のイメージセンサー、モーショントラッキングなどの機能も追加される。まるで、未来のサイボーグのパーツを目撃しているようだ。
今のところ、このスマートコンタクトレンズで見られるのは、主にMojo Visionの奇跡的に小さなディスプレイだけだが、他のデモで、これから追加されるコンピュータービジョンやモーショントラッキングがどうなっていくのか、何となくは分かった。
Mojo Visionのデモでは、同社の今後のインターフェースで、どのように情報を引っ張り出して表示するのかを披露するレンズは用意されていなかった。だが、視線追跡機能のあるHTCの「VIVE Pro」で仮想現実(VR)のデモを試したところ、視野の周辺で緑色に光っているリングが、視線を端の方に動かすと視野に入ってきて、ある領域には通知、別の領域には天気が表示された。視線を追ってスマートウォッチのインターフェースが表示されるような感じだ。
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