Googleは英国および米国の医療研究機関と共同で、人工知能(AI)を使って乳がんの発見率を改善する方法を研究してきた。
Googleは英国のCancer Research UK Imperial CentreおよびRoyal Surrey County Hospital、米ノースウェスタン大学と協力し、乳房X線撮影像(マンモグラム)を読み取るAIモデルを開発した。このAIモデルは、X線技師がより正確に乳がんの兆候を発見できるよう支援するという。
米国がん協会によると、米国で撮影されたマンモグラムの20%は乳がんを見逃しており、マンモグラムでは異常ありとされたががんではなかったケース(偽陽性)も多数あるという。その結果として、受診した女性が再受診を求められ、生体組織検査などの追加テストを受けることもあるとしている。
GoogleのAIモデルは、英国の女性7万6000人以上および米国の女性1万5000人以上から匿名化されたマンモグラムで構成される代表的なデータセットでトレーニングを受け、画像から乳がんの兆候を発見する方法を学習した。
正確性を判断するため、すでに診断済みの別のマンモグラムでテストを行い、そうした画像を先に読み取っていたX線技師の判断と比較された。
Googleによると、英米どちらにおいても、AIモデルの方がX線技師よりも正確な結果を出したという。米国の女性3000人以上の画像を読み取った結果、AIモデルは偽陽性を5.7%、がんではないと判定されたのに実際はがんだったケース(偽陰性)を9.4%減少させた。英国で2万5000人以上のマンモグラムでテストしたところ、偽陰性2.7%、偽陽性を1.2%減少させた。
AI診断では人間の専門家よりも与えられた情報が少ない中でこうした結果を収めた。人間側は患者の病歴や以前のマンモグラムを参照できたのに対して、AIモデルに与えられたのは最新の匿名化されたマンモグラムのみで、それ以外の情報は利用できなかった。
Googleは上記のテストとは別に、このAIモデルをさらに広い範囲の対象に適用できるかを確かめるテストも実施した。こちらのテストでは、英国女性のデータのみでAIモデルをトレーニングし、それから米国女性のデータセットでモデルを評価した。その結果、偽陽性が3.5%、偽陰性が8.1%減少し、人間の専門家より優れた結果が出しながら広範に適用できる可能性を示した。
「将来的な応用を考えると、スクリーニング検査においてAIモデルが正確性と効率性を向上させると同時に、患者の待ち時間やストレスを減らせるという、期待の持てる兆候が見えた」(Google)
Googleのほかにも、IBMが2019年7月にオープンソースコミュニティーでがん治療という課題に向けた3件のAIプロジェクトを公開している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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