ライブ配信プラットフォームを提供するSHOWROOMは12月17日、新サービスの構想を発表した。SHOWROOM代表取締役社長の前田裕二氏は、数あるエンターテインメント領域の中から、「ライブ」「動画」「音声」の3つの領域で、新技術を使ったサービスをリリースすると語る。それにより「ライブ配信サービス」から「エンタメテックカンパニー」へのイメージチェンジを図るようだ。
3つの新サービスのうち、ライブ領域のサービスである「SHOWSTAGE」のみがサービス名が決まっているという。ライブ市場はここ10年で78%成長している魅力的な市場だ。しかし、移動距離と会場のキャパシティが市場のキャップになっている。現在はパブリックビューイングによりその課題を緩和しているが、パブリックビューイングにもキャパシティがあるため、いずれ限界を迎えてしまう。
そこで新たに提供するSHOWSTAGEは、VR・AR技術を活用することで、場所を気にせず誰もが気軽にライブを楽しめるサービスだ。アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを通せば、目の前で没入感のあるライブが繰り広げられるという。現在はバーチャルキャラクターによるコンテンツのみだが、将来的には実際のアーティストのライブもARで楽しむことができるようだ。1月26日には「超現実ライブ」と題し、ARライブを開催することを発表。登壇アーティストは後日発表される予定だ。
次に動画サービス。前田氏はまず、これまでの動画サービスの推移を紹介した。テレビやスクリーンでプロのコンテンツを楽しむスタイルを「メディア1.0」と定義する。インターネットとスマホの登場により、PCやスマホでアマチュアのコンテンツを楽しむ現在が「メディア2.0」だ。
そしてこれからは、5Gの登場により、PCやスマホでプロのコンテンツを楽しむ「メディア3.0」の時代がくると語る。これまで通信速度などによりスマホでの表現に限界があったが、5Gによりプロが表現したい作品作りが可能になると見ている。
現在もスマホやPCでプロのコンテンツを楽しむことはできる。しかしそれは、テレビなど16:9のスクリーンを前提に作られたコンテンツを、副次的にスマホでも楽しめるだけだ。SHOWROOMは、スマホのスクリーンを前提として作られたプロのコンテンツを新しいサービスとしてリリースするようだ。既存の動画プラットフォームと違い、全てのコンテンツをSHOWROOMが検閲し、質の高い動画のみを提供する。サービスのリリースは2020年3月を想定しているようだ。
最後が音声サービス。これも動画サービスと同様に、プロが制作したリッチなコンテンツを配信するようだ。現在もプロの作った音声コンテンツであるラジオは存在するが、これは聞き流すコンテンツだ。日本には集中して聴くリッチな音声サービスが存在しないと指摘する。海外では「Podcast(ポッドキャスト)」が流行しているが、日本ではまだ市場が空いているため参入の余地があると話す。
すでにニッポン放送と提携し、プロの音声コンテンツを制作しているという。学習コンテンツや集中して聴くドラマのようなコンテンツを配信するようだ。
これら新たな3つのサービスと、既存サービスである「SHOWROOM」とのシナジーについても触れた。これまでのSHOWROOMは、タレントやアーティストがファンを獲得するために利用されてきた。今回発表された3つのサービスはファンを増やしたSHOWROOMの配信ユーザーが、よりステップアップできる舞台として機能するという。
SHOWROOMでファンを増やしたタレントは、テレビ出演や音声デビューなどに活躍の場を広げてきた。しかし、SHOWROOMでファンを増やすことは、必ずしもタレントとしての実力がついたことを意味するわけではない。活動の場を広めたものの、プロの世界で通用しないケースも多々あるという。SHOWROOMはテレビの代わりとなる新たな舞台として3つのサービスを提供することで、タレントのプロデュースまで担う構想を持っているようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」