ティム・バーナーズ-リー氏、より良いウェブ実現に向けた行動指針を発表

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年11月26日 07時54分

 Tim Berners-Lee氏が現地時間11月25日、ウェブの未来を守り、人類がデジタルディストピア状態に陥らないために策定した世界規模の行動指針を発表した。これは、2018年にリスボンで開催された「Web Summit」で同氏が初めて策定の考えを明らかにしていたのもの。同氏はその後各国政府や企業、一般市民と協力しながら、この指針づくりを進めてきていた。

講演するTim Berners-Lee氏
講演するTim Berners-Lee氏
提供:Oliver Berg/picture alliance via Getty Images

 「Contract for the Web」(ウェブを守るための契約)と称されるこの指針の狙いは、デジタルデバイドの拡大防止とウェブの最悪な側面の抑止を通じて、将来の世代のためにウェブを強化・保護すること。ウェブのすべての利害関係者の意見を取り入れながらオープンソース形式で策定されたこの指針は、世界各国の企業、政治家、そして日々インターネットを利用するユーザーにより等しく支持されるように考えられた内容となっている。

 指針は、データの悪用からインターネットの停止まで、ウェブに影響を与える多くの問題を広く網羅した、9つの主要原則で構成される。それらの原則は、政府、企業、一般市民がそれぞれ守るべき責任として、さらに3つに分けられており、具体的には次の通りとなっている。

政府の責任

  • 誰もがウェブに接続できるようにすること
  • 誰でも、いつでもインターネットを利用可能とすること
  • 人々のオンラインプライバシーとデータ保護の権利を尊重し、保護すること

企業の責任

  • 誰もが手頃な価格でインターネットを利用できるようにすること
  • 人々のプライバシーと個人情報を尊重し、保護すること
  • 人間の最良の部分を促進し、最悪の部分に挑戦する技術を開発すること

一般市民の責任

  • ウェブの作り手やその協力者になること
  • 互いの意見に耳を傾ける対話と人間の尊厳を尊重する強いコミュニティーを構築すること
  • ウェブのオープン性を維持するために戦うこと

 これらの原則には重複する部分があるように見えるかもしれないが、違いはその原則をどのようにして守るかという点にある。例えば、プライバシーとデータ保護の権利については、政府によるその尊重と保護は、規制を設けて悪用を監視すること、および犯罪撲滅や国家安全保障の名目で実施される活動が必ず適正であるようにすることを意味する。一方、企業にとってのデータ権利とプライバシーの尊重と保護は、それぞれのビジネスモデルに組み込まれたツール、機能、ポリシーの変更を意味する可能性がある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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