グーグル社員の抗議デモから1年、戦いは続く--経営陣の対応は「知性への侮辱」 - (page 3)

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2019年11月15日 07時30分

満たされない要求

 あるGoogle社員のグループは、公の場で経営陣に一連の要求を突きつけた。その中には、性的暴行やハラスメントに強制仲裁を適用することを中止するよう求める内容もあった。強制仲裁が適用されれば、社員は裁判に訴えることができなくなり、時には秘密保持契約に従わざるを得なくなる場合もある。また主催者らは、Googleに対して、セクシャルハラスメントに関する透明性レポートを作成して一般に公開することを要求した。さらに、派遣社員や契約社員を含むGoogleの従業員間で、給与の格差をなくすことも求めた。

 Googleの経営陣は、いくつかの要求には応じた。同社はすべてのケースに関して、強制的に仲裁を適用する制度を撤廃した。また後に、人材派遣会社に対して、従業員に完全な福利厚生制度を提供することを求めることを決めた(ただしこのルールは、2019年1月になるまで実行に移されなかった)。

 しかし、いくつかの要求は今も無視されたままだ。その中には、最高多様性責任者(CDO、現在はMelonie Parker氏がその任に就いている)をCEOの直属として配置するという要求も含まれる。現在は、CDOは人事責任者であるNaughton氏の直属となっている。また別の要求では、一般社員の代表をAlphabetの取締役会に加えることを求めている。

 2月に退職した元Google社員の運動家であるLiz Fong-Jones氏は、従業員の代表を取締役会に加えることは、もっとも重要な要求の1つだったと話す。同氏は、Googleがこの要求を検討することを拒んだことが、同社を退職した理由の1つだったと述べている。

 Googleの社会運動家は抗議デモを行ったことを誇りに思っているが、そこで立ち止まっているわけではない。彼らはGoogleの経営陣への働きかけを続けている。最近では、トランプ大統領のテロリスト入国禁止令を擁護した、元米国土安全保障省高官Miles Taylor氏の雇用に異を唱えた。

 Google社員と経営陣の間では、信用の問題も出てきている。従業員は、経営陣が社員の団結を阻止するために監視を強めていると非難している。会社側が、社内用の「Chrome」に、10部屋以上または参加者100人以上のカレンダーイベントを作成したスタッフを自動的に報告する拡張機能を組み込んだというのが彼らの主張だ。

 しかし彼らは、この運動が業界全体に広がることを望んでいる。あるGoogle社員は、抗議活動のもっとも大きな成果は、ほかのIT企業の社員が同様の活動を行うことを後押ししたことだと話した。

 この社員は、「それが、この運動が生み出した本当の遺産だ」と語った。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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