携帯電話大手3社の2019年度第2四半期決算が出揃った。NTTドコモが減収減益、KDDIが増収減益、ソフトバンクが増収増益と、前四半期と傾向自体は変わらないものの、10月には電気通信事業法の改正や、小規模なサービス開始にとどまった楽天モバイルの参入など、大きな出来事が相次いでおり、それらが業績にも影響しているようだ。9月から10月にかけての変化を中心に、今回の決算を振り返ってみたい。
ドコモの2020年3月期第2四半期決算は、営業収益が前年同期比2.5%減の2兆3300億円、営業利益が前年同期比11.5%減の5403億円と、減収減益の決算となった。その要因は通信事業の落ち込みで、営業収益は前年同期比2.5%減の2兆3300億円、営業利益は前年同期比11.5%減の5403億円となっている。
とはいえ2019年度は、電気通信事業法改正に備えた新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の導入影響で、減収減益の業績予想となっている。年間予想に対する進捗は順調で、むしろ足元の業績は好調だ。
実際、スマートライフ領域は営業収益が前年同期比325億円増の4733億円、営業利益が前年同期比85億円増の945億円と、増収増益となっているのに加え、ハンドセット解約率も前年と同水準の0.46%を維持。純増数が計画より好調に推移していることから、営業収益予想を当初予想より600億円増の4兆6400億円とするなど、業績予想を上方修正している。
では、分離プランの導入以外で、法改正による影響はどのような所に出ているのだろうか。特に影響が出ると見られているのが端末の値引き制限で、改正法では通信契約に紐づかない値引きの条件が2万円にまで制限されたことから、9月末まで高額端末の駆け込み需要による競争激化が起きていたようだ。
この点について同社代表取締役社長の吉澤和弘氏は、「6月から9月にかけては駆け込み需要があったり、他社のキャッシュバック攻勢があったりして、ポートアウト(番号ポータビリティでの転出)が増えた」と話し、番号ポータビリティでは不利な状況にあったと話す。しかしながら、10月以降は「対前年度からするとポートアウトは落ちている」とのことで、駆け込み需要が落ち着き様相が大きく変わっているとのことだ。
では、ドコモにとって今後の課題となってくるのは何かといえば、3Gの携帯電話利用者の巻取り、つまり4Gへの移行である。同社は2020年に5Gの商用サービス開始を予定しているが、その一方で今回の決算発表に合わせる形で、3Gの通信サービス「FOMA」、そして現在もFOMA端末上で提供されているインターネット接続サービス「iモード」を、2025年に終了させることを発表している。
そのため、今後ドコモは現在3G端末を使っているユーザーを、4Gに移行するための取り組みを加速していくとしている。新たに秋冬モデルとして、税抜きで2万円を切る価格を実現した「Galaxy A20」など、低価格で購入できる4G端末のラインアップを増やすほか、4G端末への機種変更で端末代金を最大2万円割引く「はじめてスマホ購入サポート」などを提供するなどして、4Gへの移行を加速する考えのようだ。
3Gの利用者はシニア層が多く、しかも低価格を求める傾向が強いことから、低価格を重視する他社のサブブランドやMVNOが獲得に向け力を注いでいる領域でもある。ドコモは低価格ブランドを持たないだけに、3G契約者をいかに他社に奪われることなく4Gに順調に移行させられるかが、今後の同社の業績を見据える上で大きなポイントとなってくるだろう。
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