なお、今四半期決算では、楽天モバイルのネットワーク整備遅れに関して、KDDI以外もその動向と影響についてコメントしている。ドコモの吉澤氏は、「エリア構築が十分でないのかなと思うし、基本中の基本はつながることだと思う」と様子見の姿勢を見せる。
だが一方で、楽天モバイルが、参入後もMVNOとしてドコモのネットワークを借りてサービスを提供していることに関しては、「割り当てられた周波数を有効活用せず、MVNOとして(ドコモの回線を)使い続けるのはいかがなものか。携帯電話会社としてやるなら、ある時期にMVNOは解消すべきと考える」と指摘。同じくドコモの回線を借りてサービスを提供している、KDDI傘下のビッグローブやソフトバンク傘下のLINEモバイルを含め、議論をしていく方針を示している。
またソフトバンクの宮内氏は、楽天の基地局整備遅れについて「技術陣は全員知っていた」とコメント。同社がボーダフォンの日本法人を買収し、その後インフラ整備に苦戦した経緯もあり、楽天モバイルには「長い年月をかけて頑張らないといけないのではないか」と厳しい見方を示している。
その一方で、楽天モバイルが今後低価格で競争を仕掛けると見られる料金施策に関しては、「どういうプランを出してきても、微修正は必要だが3つのブランドで戦えると思っている」と回答。既存のサービスで十分と自信を見せた。
では、当事者となる楽天モバイルの現状はどうなっているのだろうか。11月7日に実施された楽天の決算説明会で、楽天モバイルのCTOであるタレック・アミン氏は、総務省に提出した2020年3月までの目標数である3432局の基地局開設に向け、整備を加速していると説明。すでに3000の基地局が2019年内に電波を発射できる予定であるほか、4500局は契約締結済みで、6500局は口頭での内諾を得ているとしている。
また、楽天の代表取締役会長 兼 社長である三木谷浩史氏は、「(エリア内は)路面上でいうとほぼつながる。あとは地下などを改善していく」と説明。ユーザーが利用する上で不十分ではないレベルに近づきつつあると改善をアピールしているが、現在稼働している基地局の具体的な数について言及はなく、本格的な商用サービスの開始時期も明らかにしていないなど、まだ不安を感じさせる状況である様子もうかがわせている。
楽天モバイルのネットワーク整備の問題が解消しなければ、MVNOとして展開している楽天モバイルサービスの整理についても議論が進められないし、何より行政が法改正によって求めていた携帯電話会社間の競争も進まない。それだけに、楽天モバイルには商用サービスとして利用できるネットワークの整備が、引き続き強く求められるだろう。
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