舞鶴市、オムロン ソーシアルソリューションズ(以下、OSS)、日本交通は、地域の共生の仕組みを活かした共生型MaaS「meemo(ミーモ)」の実証実験を2020年4月から開始することを発表した。住民ドライバーによる送迎や公共交通を相互に補完するサービスをアプリで提供する実験を3カ月間実施し、利用率や有用性などを評価する。
meemoの特徴は住民ドライバーと利用者の間で直接的な対価のやりとりは派生せず、感謝のしるしとしてmeeと呼ばれるポイントをアプリから付与するところ。ドライバーにはガソリン代などの実費が実証実験終了後にまとめて支払われる以外、貯まったmeeに応じて市から表彰やイベントの優待が受けられるしくみにしている。MaaSの実証実験は日本各地で行われているが、こうした地域住民のコミュニティと信頼性を重視した共生型MaaSは日本初だという。
アプリはOSSが開発し、経路検索やドライバーの選択、meeの付与などが行える。今回はiOSのみで最終的な機能は4月サービス開始までに調整する。実証実験の実施は舞鶴市、OSS、舞鶴市でバスとタクシーサービスを運営する日本交通の3者が合同で立ち上げる「舞鶴市共生型MaaS実証実験協議会」(仮称)を通じて行う。
舞鶴市とOSSは今年4月に包括連携協定を締結し、共生、再生可能エネルギー、キャッシュレス&省力化、モニタリング、若者チャレンジの5つをテーマに2030年を見据えた地方の課題解決に取り組んでいる。具体的な取り組みとして発表したのはmeemoが初めて。
舞鶴市の多々見良三市長は、「ITやAIを用いて不便さを解消しながらも人と人とのつながりを強くする方法を目指す」とし、、持てる資源を効果的に活用するため新たな技術の導入と多様な連携を行い、「心が通う便利な田舎暮らしができるまち」を目指すことを強調。バスとタクシー、住民同士の送迎が相互補完する三方良しのMaaSを実現したいと話す。
OSS 代表取締役社長の細井俊夫氏は、「meemoアプリは交通を使った共生とマッチングによるお互いさま社会を実現しているが、今後は子育てや生活へも利用を拡げ、IoTを用いた共生プラットフォームとして活用を目指したい」と語った。
アプリの開発を担当するOSSコミュニティソリューション事業本部プロジェクトリーダーの横田美希氏は、「共生型MaaS成功の鍵は信用の担保とインセンティブにあり、仕組みを使い続けてもらうことが大事」と説明。信頼性は通常は星で評価されるが、地域社会では悪い評判は一生ついて回ることや、高く評価されると嫉まれるといった声から、アプリを使って感謝を目に見えるmeeという形で評価し、ゲーミフィケーションの要素を加えている。
利用者の参加もコミュニティリーダーを起点とした招待制を採用。所属しない個人は共助サポーターに認定して信用を保ち、新たなコミュニティの拡がりにもつなげる。
住民同士の送迎利用可能エリアは、バスが運行されていない高野地区と、バスはあるが停留所への移動が難しい加佐地区内で、利用者とドライバーでそれぞれ200名の参加を想定している。具体的な募集方法や最終的な運営方法は4月の実証実験開始時までに調整する。
今回の参加理由について日本交通 代表取締役社長の澤志郎氏は、地域公共交通の人手不足はドライバーのみならず、オペレーター、運行管理者まで拡がっているとし、「法的な枠組みに捉えられていると地域の足は崩壊する。問題があれば解決に向けて実験で明らかにするのが意味のあることで、できるできないではなくトライしなければ将来はない」とコメントした。
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