米国と英国は、両国の法執行機関が相手国のIT企業に対して、犯罪捜査に使う電子的証拠の提供を要請できるようにする協定を米国時間10月3日に結んだ。この協定は、2018年に米議会が可決し物議を醸しているCLOUD(Clarifying Lawful Overseas Use of Data:データの海外における合法的使用の明確化)Actに基づいて承認された最初の取り決めだ。
米司法省は声明で、両国間の協定が「電子的証拠を適時に効率よく収集する上での法的障害を取り除くことにより、捜査を大きく加速する」と述べた。この協定により捜査官は、法的障害に遭遇することなく、テロ、児童への性的虐待、サイバー犯罪といった重罪に関するデータにアクセスできるようになる。
William Barr米司法長官は、「別の国に保存されている犯罪の電子的証拠に適時アクセスする際の問題を解決することによってのみ、21世紀の脅威に遅れることなく対応することに期待できる」と述べた。
CLOUD Actにより、メールや文書など、インターネットに保存された通信の閲覧を求める犯罪捜査官に適用される規則は改定された。また、同法によって米国は、要請を限定的にケースバイケースで審査して、自国のサーバーから他国の犯罪捜査官に情報を送る協定を結ぶことも可能になった。
今回の協定は、刑事共助条約(MLAT)と呼ばれる、各国間でインターネットユーザー情報を共有する現行のプロセスに代わるものだ。MLATの下で、法執行機関はIT企業に要請する前に裁判所の承認を得る必要がある。このプロセスには往々にして数年かかると司法省は述べた。
米国自由人権協会(ACLU)や電子フロンティア財団(EFF)のようなプライバシー擁護団体は、不当捜査に対する憲法による保護を法執行機関に回避させるとして、こうした変更を批判している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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