中小の飲食店では特に人手不足が深刻な問題だ。さらに予約システム、顧客の管理、キャッシュレスを含めた決済など、各々のシステムと契約して環境を構築することも負担となっている。その飲食業界に向けて、バックエンドのオールインワン管理ができるシステム「オミセノテック」が開発された。
オミセノテックではAIカメラによる顧客データ分析も行えるという。提供元は、mineoやeo光を運営するオプテージ。開発はAI技術に精通しているネオラボが請け負っている。9月19日に開催された、飲食店向けソリューションサービス「オミセノテック」の発表会の模様をお届けする。
オミセノテックを提供するオプテージは、格安スマホ「mineo」のモバイル事業、eo光、eo電気、関電ガスなどコンシューマ事業に加え、ICTソリューション、SIソリューションを行うソリューション事業も展開している。
オプテージ 取締役 常務執行役員 ソリューション事業推進本部長の橘俊郎氏はオミセノテック提供に関し、「幅広いサービス領域での実績、そしてお客様と共創してきたことで得られた知見がある。こうしたわれわれのコアビジネスを強みにして新しいサービス、新しいソリューションを飲食業界の皆様にご提供させていただく。ITを駆使して飲食業界が抱える課題を解決する」と意気込みを見せた。
オミセノテックは、(1)省人化、(2)オールインワン管理、(3)データ収集・AI分析の3つの柱から構成されている。省人化については、オーダーの手段をITで行えるよう、タブレットを利用して客が注文する「テーブルオーダー」、店員がモバイル端末で発注する「ハンディオーダー」、決済までを完結する「KIOSK端末オーダー」に対応する。また、システムとIPインカムを連携し、店舗スタッフへ連絡することも可能だ。これにより、客がストレスを感じることなくスムーズに接客を受けられる。
オールインワン管理に関しては、オミセノテックでバックエンドのシステムをまとめて管理できることを指す。サイトやSNSから予約できる「Web予約」、来店前に利用できる「事前オーダー」や「事前決済」など、客の利便性を上げる機能を備えている。また、顧客管理、予約台帳システム、POS連携やQRコードなどのキャッシュレス決済も連携。前述のオーダーシステムやIPインカムなどを組み合わせることで店舗運営の負担も軽減する。こうした情報は顧客管理システム(CRM)に集約され、運営支援に役立てることもできる。
「オールインワン連携により、店舗は当社1社の契約で済む。たとえば予約台帳、オーダーエントリー、POS、それぞれどこの会社に聞いたらいいのか迷うことなく、すべて対応できる。また、データが分散していないことも重要なポイントだ。分析するにあたって、さまざまなシステムからデータを集め、クレンジングしてどこかの分析用プラットフォームを入れるといった手間は必要ない。われわれのデータを使ってすぐに多角的に分析できる。これは店舗のみならず、お客様にとっても価値があることだ」とオプテージ ソリューション事業推進本部 ソリューション開発部 ソリューションビジネス開発チーム シニアマネージャーの藤田靖征氏は考えを述べた。
オミセノテックの顧客管理システムは通常のデータ集約だけに留まらない。AIカメラにより顧客属性判定と新規・リピーター判定を行える。店舗の入り口などに設置したカメラにより顧客の年齢や性別を判定、注文状況などから今後のメニューやコンセプトなどの戦略を練ることができる。また、リピーターには過去の来店履歴から「お気に入りのメニューはこちらですね」など声かけを行うことも可能だ。
AI判定の精度に関しては、現在実証実験を行っている店舗で8〜9割の確率で成功しているという。また、客として訪れる側としてはプライバシーも気になるが、ネオラボ 技術開発部ディレクターの田島未晴氏によると、「AIカメラを設置していることは客には公表しないが、会員登録を行った人に対してだけ注文履歴などの情報と紐付く。それ以外の客に関して個人情報と結びつくことはない。あくまで、属性の集約となる」とのことだ。
料金に関しては、基本サービスに必要な機能を組み合わせた総計となる。例えば、予約システムや顧客管理を備えた「基本サービス」に、店員がモバイル端末で発注する「ハンディ」を組み合わせた場合、「基本サービス」の初期費用20000円と月額19000円、そして「ハンディ」の初期費用20000円と月額4000円(キャンペーン価格)と合算となる。現在は先着1000店舗まで割引となるキャンペーンを展開している。オミセノテックのリリースは10月下旬を予定している。
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