米連邦通信委員会(FCC)は米国時間6月6日、携帯電話会社の権限を強化し、迷惑なロボコール(営業活動などに使われる自動音声電話)を「積極的にブロック」できるようにする提案を全会一致で可決した。
このルールによって、移動体通信事業者は今後、顧客に対するそうしたロボコールをデフォルトでブロックできるようになる。各社はまた、知らない番号からかかってきた電話を顧客がブロックすることも許可できるようになる。顧客は、ブロックサービスにオプトインすることも、オプトアウトすることもできる。FCCの委員長を務めるAjit Pai氏は、5月にこの提案の詳細を公開していた。
ただし、この計画によって、医師や薬局からの電話がブロックされる可能性もありそうだ。
ロボコールについては、何らかの対策を講じるよう求める圧力が高まっている。米議会は4月、違法なロボコールに対する苛立ちを表明し、超党派の法案Telephone Robocall Abuse Criminal Enforcement and Defense(TRACED Act:電話ロボコールの悪用に対する取り締まりと防衛に関する法案)を再提出した。この法案は、取り締まりの方針を改善し、不当なロボコールを非合法化するとともに、電話会社に対し、発信元が表示通りで間違いないかを検証できる新技術の利用を義務付けるものだ。このルールによって、違法なロボコールをより素早くトレースできるようになる。法案は米上院を通過して下院に送られており、下院では超党派の支持を得ている。
発信者IDサービスなどを手掛けるHiyaが1月に発表した報告書によると、2018年の米国のロボコール件数は2017年と比べて46%増加し、263億回となった。1人当たり1カ月に平均10件のスパムコールを受けた計算になるという。
FCCによると、消費者から寄せられる苦情のうちロボコールへの不満が最も多く、毎年数十万件に達するという。今回のFCCの動きによって、通信事業者は違法な電話や迷惑電話が消費者に届く前にブロックできるようになる。
Pai氏は、6日付のUSA TODAY紙への寄稿で次のように述べている。「消費者がわれわれに苦情を寄せる際、違法な電話や詐欺の電話、テレマーケティングの電話、なりすまし電話を区別していない。それらはすべて、『迷惑』という1つのカテゴリーに分類されるだけだ」
一部の通信事業者はFCCのポリシーについて、対象が広すぎるかもしれないと述べている。通信事業者は、正当な発信元からのロボコールもデフォルトでブロックできてしまうからだ。
Pai氏はUSA TODAY紙面で、そうした批判があることは承知していると述べた。
FCCによると、違法なロボコールが米国の消費者に与える損失は毎年少なくとも30億ドル(約3250億円)にのぼるという。
FCCはまた、通信事業者が消費者にサービスへのオプトインを強制せずに違法なロボコールを自動でブロックできるようにすることは、消費者が求めていることであり、必要としていることでもあるとも主張している。
ロボコールを通じた消費者へのリーチを難しくすることで、詐欺師にロボコール技術の利用を促す経済モデルを打破することになると、FCCは指摘している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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