Facebook傘下のOculusは、新型の一体型VRヘッドセット「Oculus Quest(オキュラスクエスト)」を5月21日に発売することを発表した。価格は64GBモデルが4万9800円、128GBモデルが6万2800円。同端末は、従来のOculus RiftのようにPCに接続する必要がなく、Wi-Fi環境さえあればいつでもどこでも、“VR空間を歩きながら”ゲームや映像を楽しめる6DoF対応のデバイスだ。
Oculus Riftからの乗り換えを検討しているユーザーもいると思うが、同じくPCなしに遊ぶことができ、外出先にも持ち出せる、スタンドアロン型のVRヘッドセット「Oculus GO」からの乗り換えを考えている人は多いのではないだろうか。筆者もその一人だ。CNET Japan編集部では、日本での発売に先駆けてOculus Questを体験することができたので、Oculus GOとの違いを中心に同端末の魅力を紹介していこう。
まず、簡単に両端末のスペックを比較しよう。Oculus GOは、2万3800円の32GBモデルと、2万9800円の64GBモデルから選べる。ディスプレイ解像度は2560×1440のWQHD液晶パネル。リフレッシュレートは60〜72Hz、プロセッサーはSnapdragon 821。トラッキングはヘッドトラッキングのみの3DoF(回転)となっている。コントローラーはスティック型が1つ。本体サイズは190mm×105mm×115mmで、重量は468g。
一方のOculus Questは、4万9800円の64GBモデルと、6万2800円の128GBモデルから選べる。ディスプレイ解像度は2880×1600のOLED(有機EL)。リフレッシュレートは72Hz、プロセッサーはSnapdragon 835。トラッキングは、空間を自由に移動できる6DoF(回転・上下左右前後)となる。コントローラーはOculus Touchが2つ。本体サイズは193×222×105mmで、重量は571gとなっている。
Oculus QuestはOculus GOの約2倍の価格だけあって、解像度やプロセッサー、トラッキング、コントローラーなど、すべてにおいて高性能となっている。ただし、本体が100gほど重いため、Oculus GOに慣れていると少し重く感じるかもしれない。
続いて、端末のデザインやボディの違いを見ていこう。まず本体正面は、Oculus GOは平面なのに対し、Oculus Questは丸みを帯びた形状をしている。また、Oculus Questには前面にトラッキング用の4つのカメラが搭載されている。ヘッドバンドは、Oculus GOは柔らかい布製だが、Oculus Questはゴム製でよりがっしりと頭を固定できる。
ボタンについては、Oculus GOでは本体上部に電源ボタンと音量調整ボタンがあるが、Oculus Questでは本体右側面に電源ボタン、本体下部に音量調整ボタンと瞳孔間距離調整スライダーがある。
また、Oculus GOの左側面には充電用のMicroUSB端子とイヤホンジャック、Oculus Questの左側面には充電用のUSB Type-C端末とイヤホンジャックがある。どちらも、充電用端子とイヤホンジャックがあるが、Oculus Questは右側面にもイヤホンジャックが搭載されており、好きな方を利用できる。
最後にそれぞれの使用感の違いについて。ホーム画面やコンテンツ選択などの操作性は大きく変わらないが、やはりOculus Questは6DoFに対応しており空間を自由に歩き回れる点、そして2つのコントローラーをまるで自分の手のように操ってゲームをプレイできる点が、圧倒的にVR体験をリッチにしている。これがOculus RiftのようにPCを使うことなく実現できるのは嬉しい。
いま自分のいる部屋の大きさにあわせて、VR空間内を歩ける「ルームスケール」をすぐに変更できるため、友人の家などに持って行って遊ぶ際にも、細かな設定などせずに即座に遊ぶことができる。VR空間を越えると本体前面に搭載されたカメラによって画面上に現実世界が映るため、壁にぶつかるといった心配もない。
また、細かい点だが、Oculus GOでは前髪がレンズの間にあるセンサーにかかると、端末を頭から外したと認識され、画面が暗くなることが多々あった(その度に、前髪を上げる必要があった)。Oculus Questではそうした誤認識は一度も起きていないので改善されているようだ。
以上、簡単ではあるが、一体型VRヘッドセットであるOculus GOとOculus Questの違いを紹介した。価格は2倍近いが、空間を歩き回れる高性能なVRゲームを、いつでもどこでも手軽に持ち歩けるようになるのであれば、決して高い金額ではない(むしろ安いとすら感じてしまう)と筆者は感じた。今後のコンテンツ次第ではあるが、Oculus GOユーザーにもOculus Questは自信を持ってお勧めできる端末だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス