「フィットネスクラブ」はテクノロジでどう変わる?--メガロス運営の大橋社長に聞く - (page 3)

 そうですね。単にトレーニングの機会や機能を提供するだけでなく、そこに動画によるインタラクティブなコンテンツや双方向性を生み出すコミュニケーションを生み出しているところが、フィットネスクラブ側が考えた顧客体験のひとつの形ではないかと思います。開発時にも、顧客に受け入れてもらえるようなサービスにするにはどうするべきか、どうすれば利用者とコーチの間に有益なコミュニケーションが生れるかを一番に考えたアプリのデザインや使い勝手を追求しました。

――パーソナルトレーニングや水泳のパーソナルレッスン「KAICA-カイカ」にはパナソニックのクラウド技術が導入されていますが、どのような経緯で協業することになったのでしょうか。

 パナソニックには、1月に稼働した会員管理システムの開発にも携わってもらっていますが、その中からさまざまなテクノロジ活用の可能性を提案してもらった中で、パーソナルトレーニングなどのサービスが生まれました。専用アプリの開発もパナソニックとの協業でプロトタイピングから行っています。

 さらにさかのぼると、親会社である野村不動産が横浜市の綱島にあったパナソニック モバイルコミュニケーションズ工場跡地の再開発プロジェクト「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」の協業を行っていく中から、野村不動産とパナソニックの関係が作られていったという経緯がありますね。


パナソニックとの協業の経緯を語る大橋氏

――今後のサービス開発のパートナーエコシステムについてはどのような方向性を考えていますか。

 もちろん、パナソニックとは今後も協力体制を維持していきますが、1社とのパートナーシップにこだわるつもりはありません。われわれの考えと方向性が一致して、顧客の利便性向上につながる良いテクノロジを持っている企業があれば、パートナーシップは拡大していきたいと考えています。ヘルスケア領域はベンチャー企業も多いので、相手の企業規模の大小に関係なく可能性を探っていきたいと思います。

――最後に、テクノロジ活用によって健康増進の在り方をどのように変えていきたいか、今後の抱負を聞かせてください。

 テクノロジを活用するすべての目的は、顧客利便性の向上に帰結している必要があると考えています。顧客が「これを使えば便利だ」と思ってくれなければ、どんなテクノロジを導入しても意味はないわけです。そして、それがキャストの業務効率の向上につながり、顧客とのコミュニケーションの拡充やサービスの向上、顧客満足度の向上につながるのです。便利なツールによってキャストがより一層顧客と向き合える時間を生み出すこと、これがテクノロジを活用する理想的な在り方だと考えています。

 その先には、開発したテクノロジを活用すればBtoCだけでなく企業の社員に向けて健康増進を促進する製品やサービスを提供するような、BtoBのビジネスも視野に入ってくると思います。最近では「健康経営」という言葉もあるように、企業は社員の健康増進の推進に高い関心を持っています。そうしたニーズに応えることで、社員自身の健康増進への関心を高め、仕事のパフォーマンスの向上にも貢献できるのではないでしょうか。こうした試みは既に野村不動産グループ内で始まっており、今後はそれを外へと広げていければと考えています。

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